友情 – VINCENT, FRANCOIS, PAUL…ET LES AUTRES(1974年)

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スタッフ
監督:クロード・ソーテ
脚本:クロード・ネロン、クロード・ソーテ、
ジャン・ルイ・ダバディ
撮影:ジャン・ボフェティ
音楽:フィリップ・サルド

キャスト
ヴァンサン / イヴ・モンタン
フランソワ / ミシェル・ピコリ
ポール / セルジュ・レッジアーニ
ラヴァレー / ジェラール・ドパルデュー
キャテリーヌ / ステファーヌ・オードラン
ルシー / マリー・デュボア
ジャック / ウンベルト・オルシーニ
コレット / カトリーヌ・アレグレ
マリー / リュドミラ・ミカエル

日本公開: 1975年
製作国: フランス リラ・フィルム作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

今回もフランスの男優イヴ・モンタン出演作にして監督も同じくクロード・ソーテ。中年男たちの孤独と人間関係を静かに描く渋い人間ドラマ。

フランス、エピネー

木製品工場を営むヴァンサン(イヴ・モンタン)は妻と別居して2年が経ち、新たな若い恋人がいる。彼の友人には浮気性の妻に悩む開業医フランソワ(ミシェル・ピコリ)、スランプ中の作家ポール(セルジュ・レッジアーニ)がいた。

彼らは長い間友人関係だが互いに深入りせず、それでいて無碍にもしない関係。しかし、それぞれに悩みもある。相談されれば寄り添うが、そうでなければ詮索や干渉はしない。

彼らはかつてヴァンサンと共同経営者だった友人の息子ラヴァレー(ジェラール・ドパルデュー)に目をかけていた。彼はヴァンサンの工場に勤めながら妊娠した恋人との将来のためにプロ・ボクサーで稼ぐことを検討していて・・・

枯れ始めた男たちの人生を静かに追うドラマの佳作。

妻と別居し若い恋人がいる主人公。周囲にはモテ男だと公言し妻は自分側が愛想を尽かしたのだと吹聴していた。しかし内情は反対で、工場経営も悪化し、あれやこれやと一挙に行き詰っている。それでも見栄もあり周囲には悟られまいとしている。

開業医は地元の名士であり医師という立場上、どうしてもすべてが上から目線。それに嫌気が差した妻は隠すことなく、まるで当てつけのように浮気をしている。

作家は以前に本を上梓したもののスランプで全く書けないので皮肉めいたことばかりを言うタイプ。

誰もが人生の半分を過ぎて不惑の領域であるはずだが、人生は上手く行かない。そういった男たちと周囲の妻や恋人、ボクシングで賞金を手にしたい若者の葛藤が描かれていく。

興味深いのは誰もが個人的には大問題ではあるのだが、傍から観ると『ああそうですか』的に写ること。これが実にフランス映画らしい、斜に構えた『誇り高き大人』の感性と視線だと進行して行く。

この手の作劇は起承転結のハッキリとしたアクションや目まぐるしく振り回させるような派手な進行が好きな人間には耐え難い作品かもしれぬ。

中年たちの哀愁や苦悩を敢えて劇的に盛り上げずに一定の距離感を維持したまま映しだす。

では、歯痒いのかというとさにあらず。観る側にもある程度の感性の大人度というか、成熟度を要求してくる。長年ヨーロッパ系の映画に接してきて、やっと心底沁みてくる作品だと感じた。

アラン・ドロンとチャールス・ブロンソン共演で日本でヒットした「さらば友よ」(1968)に匹敵する終盤での主人公と医師の煙草のシーンは鳥肌が立ち、青年のボクシング場面もリアリティに満ちていて興奮した。

だが、公開当時は自分もまだ若僧で背伸びして『大人』を気取っていたので、それなりの理解したつもりで本作は『渋い系』としか認知できなかった。

ここで紹介するに当たり久々に再見したら、心に沁み渡り、それが淀んで沈んでいく感慨にふけった。

それだけ歳を重ねてきたと実感させられた。これぞ、まさしくフランス映画の一翼であり、ハマる人間とリタイアしたくなる人間とハッキリ分かれるであろうと推察する。

自分にとっては熟成させた結果、バランスが崩れたがイヤミでない渋みが際立つ赤ワインに仕上がった印象に変化した作品。

余談雑談 2024年3月16日
これも普通なのか、それともやはり変わっているのか、自分。 医療行為についてなのだが、体にでた発疹というかアトピー的な吹き出物。これが実に厄介で、昨年末に行った街角クリニックでは血液検査の結果、「原因不明」と診断され見放された。 どうにも悪化