戦うパンチョビラ – VILLA RIDES!(1968年)

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スタッフ
監督:バズ・キューリック
製作:テッド・リッチモンド
脚本:サム・ペキンパー、ロバート・タウン
撮影:ジャック・ヒルドヤード
音楽:モーリス・ジャール

キャスト
ヴィラ / ユル・ブリンナー
アーノルド / ロバート・ミッチャム
フィエロ / チャールス・ブロンソン
ウェルタ将軍 / ハーバート・ロム
フェナ / マリア・グラツィア・ブッチェッラ
ウルビナ / ロバート・ビハーロ
ラミレス / フランク・ヴォルフ
マデロ大統領 / アレキサンダー・ノックス
アーノルドの知人女性 / ジル・アイアランド

日本公開: 1969年
製作国: アメリカ パラマウント作品
配給: パラマウント


あらすじとコメント

俳優ユル・ブリンナー。ロシア系から東洋人など特異の風貌を生かして様々な役柄を演じてきた。今回は実在したメキシコ革命の野蛮な勇者を演じた作品にしてみる。壮大なスケールで描くアクション巨編。

メキシコ、エルパソ

アメリカ人アーノルド(ロバート・ミッチャム)はメキシコ政府軍に銃を売るために飛行機でやって来た。彼は自分のことと金にしか興味はなく、他国で何が起きようと知らん顔のタイプ。商売はすぐに終わるが着陸の際に車輪を破損し修理が必要となった。しかし軍も闇商売の相手などには無関心で近くの村に行くためラバを一頭残して去って行く。

仕方なくラバで向かうアーノルド。そこは革命側に加担する野盗団首領ヴィラ(ユル・ブリンナ─)を支持する寒村であった。そこで気の良い鍛冶屋一家に頼み、修理してもらうことになる。

年頃の娘とも仲良くなり、友人として歓待を受けるが、そこに銃を売った将校を隊長とする政府軍がやって来て、鍛冶屋や村人らに銃を向けた・・・

実在した革命家の葛藤や行動を大スケールで描くアクション巨編。

野蛮で元来は盗賊の首領。部下たちも殺人を何とも思わない輩ばかり。捕虜にした政府軍兵士を鹿狩りでもするかのように楽しんで射殺していく始末。

半ば強制的だが金のためと行動を共にするアメリカ人も身勝手なタイプ。そもそも他人から借りた飛行機で来て、金さえ払えば誰にでも売るような闇商売人。

メインの人物らはどうにも肩入れができない男ばかり。

アメリカ人も嫌々付き合わされるのだが、鍛冶屋の娘と関係を持ったりして心が徐々に変化していく。

それは主人公も同じだが彼の場合は現職大統領に心酔しており、何があっても忠誠を誓っている。そこに絡んでくるのは主人公を嫌い政治的画策を講じる腹黒そうな将軍。

主人公自身は政治にまったく興味がなく権謀術数など思いつきもしなく本能的な戦闘能力に長けているタイプ。

つまり攻撃立案などの能力は抜群だが、大統領や将軍らかすると「目の上のこぶ」的存在なのである。

確かに元々は盗賊軍団であり、国境を越えアメリカ内まで侵入したりしたから、アメリカ製西部劇では悪役として描かれることも多い存在でもある。

本作でも正義の味方ではなく、あくまで忠誠を誓った蛮族として描かれていくし、アメリカ人代表の闇商売人にしても同類だと描かれる。

主演のブリンナーは珍しく髪と髭をたくわえた姿で奮迅してるし、彼の右腕を演じるチャールス・ブロンソンのふてぶてしい演技も印象的。この二人は「荒野の七人」(1960)で共演しており、同じく西部劇でメキシコが舞台と共通事項があるので、若干混乱するやもだが、イメージが被らないようにしていると感じる。

全体的にスケール感溢れる戦闘場面が何度も登場してくるし、脂の乗っている時期のモーリス・ジャールの壮大な音楽も上手く作用していると感じる。

それなりに人間的脆弱さの露呈など、野蛮ながら男たちの成長過程も挿入され均整の取れた作劇。

完全なるアメリカ製ウェスタンながら、どこかイタリアのセルジオ・レオーネ臭を感じるのはロケ地がスぺインだからだろうか。

人間の描き方はマカロニ西部劇とは一線を画すと思うが、戦闘場面での派手な死に方演出などはどこかアクロバティックでもあり、妙にシンクロしてしまう。

やはり隣国の蛮族上がりの英雄を真正面から描こうとした時点で、万人受けは狙えなかったのだろうか。

余談雑談 2024年5月11日
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