スパイ – ROUGH SHOOT(1952年)

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スタッフ
監督:ロバート・パリッシュ
製作:レイモンド・ストロス
脚本:エリック・アンブラー
撮影:スタンリー・パレイ
音楽:ハンス・メイ

キャスト
タイン / ジョエル・マクリー
セシリー / イヴリン・キース
サンドースキー / ハーバート・ロム
ヒアート / マリウス・ゴーリング
ハッシンガム / フランク・ロートン
ランドール / ローランド・カルヴァート
カートライト / シリル・レイモンド
ダイス / カレル・ステファネク
ブロッサム / ローレンス・ネイスミス

日本公開: 1953年
製作国: イギリス レイモンド・ストロス作品
配給: ユナイト、松竹

あらすじとコメント

今回もスパイ・スリラー。地味ながら手堅くイギリス製スリラーの系譜を踏襲した作品。主人公はアメリカ人で、演じるのはいかにもヤンキーという風情のジョエル・マクリーで、ヒッチコック御大の渡米第1作「海外特派員」(1949)でも主役を演じ、どこか見比べてしまう。

イギリス、ドゥーセット

アメリカ陸軍のテイン中佐(ジョエル・マクリー)と妻セシリー(イヴリン・キース)は軍務で駐留していた。

休日に中佐が狩場に猟をしようと出向くとそこに似つかわしくない格好をした不審者を発見。声をかけると逃げだしたので、威嚇射撃をするが、何故か不審者は倒れてしまった。

慌てて近付くが既に死亡していた。流石にマズい状況だと死体を一時的に隠そうとすると、そこに近所の家に遊びに来ていたヒアート(マリウス・ゴーリング)が近付いてきた。

何とかやり過ごそうとするテインだが、ヒアートこそが・・・

スパイ騒動に巻き込まれる駐留アメリカ人夫婦の活躍を描くスリラー作。

威嚇射撃のはずが相手は死亡。しかし、実際に同じタイミングで射殺したのは敵側のスパイだった。では射殺された謎の男は一体誰なのか。

そんな敵スパイの真の目的は夜陰に乗じて飛来する機密文書を持った仲間をロンドンまで護送することだった。

主人公は自分が間違って射殺したと思い込んで何とかしようとするが、そうはさせまいと邪魔をする敵側スパイたち。ヘタな細工をされては自分らの活動に問題が出るからだ。

そんなこととは露知らず実に不思議な状況になり、それでも何とかしようとする。そこに今度は謎のポーランド人が現れ、自分は味方側のスパイだから協力してくれと言われて益々混乱していく主人公。

ある意味、アルフレッド・ヒッチコック監督が得意としていた「巻き込まれ型」の主人公。しかも興味深いのがヒッチコックがイギリスから渡米し、第1作のメガホンを取った「海外特派員」(1949)の主役がジョエル・マクリーであったこと。それを意識しての逆起用かと微笑んでしまった。

しかも、れっきとしたイギリス映画であり、アメリカ製西部劇の印象が強いマクリーを招聘して主役を演じさせていることに、何とも妙なミスマッチ感が漂う。

そこに持ってきて敵のスパイにクセモノ俳優マリウス・ゴーリング、味方と言い張るポーランド人に悪役専門のハーバート・ロムという当時のイギリス製スリラー映画のファンならニヤニヤするキャスティング。

ストーリィ自体は二転三転するスタイルではなく、割と正攻法で攻めてくる。ただ、「海外特派員」を連想するので、わざとか本作監督ロバート・パリッシュは、完全にヒッチコックを意識したカットを放り込んでくるので微笑んでしまった。

しかもラストのヤマ場はロンドンの「マダム・タッソー蝋人形館」である。ホンモノそっくりの、ある意味不気味さを醸す館内でのアクションも派手さよりも、恐怖感で押してくるから妙味がある。

とはいっても好意的に観ているので、実は鷹揚だと感じる人の方が多いだろうとも思う。

間違いなく地味目な作品なので過度な期待はしないほうがいい。

余談雑談 2024年6月1日
また一軒閉店した。 数少なくなった行きつけで、元々は中華そばとカツカレーの店。場所は元労務者の街「山谷」の外れで、親父さんが独りで切り盛りしていた。 数年前に病で倒れ、何とか復帰したが中華系は完全にやめてカツカレー専門店になった。考えたらそ