アンナ – ANNA(1951年)

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スタッフ
監督:アルベルト・ラトゥアーダ
製作:カルロ・ポンティ、ディノ・ディ・ラウレンティス
脚本:ジョゼッペ・ベルト、ブランコ・ブルサーティ
撮影:オテッロ・マルテッリ
音楽:ニーノ・ロータ

キャスト
アンナ / シルヴァーナ・マンガーノ
アンドレア / ラフ・ヴァローネ
ヴィットリオ / ヴィットリオ・ガスマン
婦長 / ギャビー・モレー
フェルリ医師 / ジャック・デュメニル
ルチア / パトリツィア・マンガーノ
アンドレアの母親 / ティーナ・ラッタンツィ
マンツィ / ピエロ・ルッリ
ヴィルジニア / ディーナ・ロマーノ

日本公開: 1953年
製作国: イタリア カルロ・ポンティ作品
配給: イタリフィルム、松竹

あらすじとコメント

前回のオムニバス映画「秘密大戦争」(1965)でイタリア編に主演していた俳優ヴィットリオ・ガスマン。いかにもイタリア系の妙な脂っこさがある俳優という印象で、そんな彼がヒロインと関係を持つバーテンダー役を演じたドラマにしてみる。

イタリア、ミラノ

とある総合病院。そこには様々な入院患者がいる上に連夜急患が運び込まれてくる。外科病棟に勤める修道士系看護師のアンナ(シルヴァーナ・マンガーノ)は、医師や看護師たちからも絶大なる信用と人気があった。

そんな彼女は婦長に正式な「修道女」として誓いを立てたいと願いでた。しかし、婦長の返事は「ノー」であった。まだ俗世間との縁をキッパリと切れないだろうからとの理由であった。思い悩むアンナ。

そこへ事故で重傷を負ったアンドレア(ラフ・ヴァローネ)という若い男が運び込まれてきた。ヴェテランの外科部長は緊急手術を指示。急遽、呼ばれたアンナは彼の顔を見て・・・

悩める看護師の過去と現在を交錯させるラヴ・ロマンス。

冒頭、大病院の忙しさが強調され、その中で奮迅する主人公の姿がテンポ良く描写されていく。地味な制服に身を包み、慎み深いが強さと優しさを併せ持つ天使のオーラが宿る。

急患で運び込まれた母親と幼稚園児の息子。その母子に不幸が訪れると、看護業務以上の憐憫の情で接し、酒に酔って周囲に当り散らす父親には毅然とした態度で接する。

ドクターたちへのさり気ない気配りも堂に入っており、休みなく働く姿に同僚たちからも感嘆の声が上がるほど。当然、入院患者たちからも信頼が厚い。

こういった日常を手術シーンなども織り交ぜ、製作当時としては、 素晴しいリズム感に富む流れで主人公の日常が綴られていく。

そして知り合いの男が入院してきたところから、急激なる変調が起きる。

その突拍子さ加減に恐れ入ってしまった。清楚なイメージの主人公が、いきなり黒人男性二人と歌い踊る展開となるのだ。

つまり、何故彼女が修道女になろうと決心したかを遡る展開になる。その姿は、セクシーで妖艶そのもので鳥肌が立った。当然、以前の男たちは誰もがメロメロになって彼女を見ている。

ただし、そこからはありがちな当時の、いかにもの進行になる。その妖艶さが仇となり、実はマゾヒズムを感じさせるほど異性に弱い女性として描かれだす。

彼女自身の他に作劇自体の前半部とのギャップに、また鳥肌が立った。

目つきの悪いバーテンと田舎臭さのある無骨な男。通常、考えれば、どちらが彼女を幸せにするであろうかは容易に想像が付く。

当然とも思えるが片方は主人公を『性の奴隷』にしようとする。もう一方は、何と家族ぐるみで彼女を懐柔しようとしてくる。

ありきたりと言えば、ありきたり。そういった過去のシーンが終わり、現在へと戻ってくる。当然、そこでも波乱が待ち受ける。

興味深いのは、そういった彼女の過去の場面を見せ付けられた後、現在の看護師姿の彼女を見ると、冒頭と同じ顔に見えないのだ。

そこに妙なサスペンスさえ生じさせる。『清楚な制服に隠された熱情』という、男の密かな願望を具象化しているのだ。それを際立たせているのは、ひとえに主演のマンガーノの妖艶さゆえである。

結果、彼女の魅力で持っている映画であると断言できなくもない。

余談雑談 2024年6月15日
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