スタッフ
監督:ジュゼッペ・デ・サンティス
脚本:リベロ・デ・リベロ、ジュゼッペ・デ・サンティス
エリオ・ペトリ、ジャンニ・プッチーニ
撮影:オテッロ・マルテッリ
音楽:マリオ・ナシンベーネ
キャスト
パスクアーレ / マルチェロ・マストロヤンニ
アンジェラ / マリナ・ヴラディ
ピエトロ / ジュリオ・カーリ
コンチェッタ / アンジェラ・ロンゴバルディ
アドルフォ / フェルナンド・ヤコヴォルタ
ムンチアータ / ドーラ・スカルペッタ
フランチェスコ / レナート・キアントーニ
オレステ / ルチアン・ガラス
オノラート / コシモ・ポエーリオ
日本公開: 1956年
製作国: イタリア ミネルヴァ・フィルム作品
配給: イタリ・フィルム NCC
あらすじとコメント
イタリアの俳優マルチェロ・マストロヤンニ主演の恋愛モノで継げる。今回は貧乏ゆえの悲喜劇を描く大らかなドラマ。
イタリア、チッチョリア
溝を隔てて仲良しの家族が暮らしていた。その中に復員兵のパスクアーレ(マルチェロ・マストロヤンニ)、相手側には幼馴染のアンジェラ(マリナ・ヴラディ)がいる。
二人は以前から恋仲で結婚を考えているが、両家ともあまりにも貧乏大家族で結婚資金が工面できない。結局、それが仇となって2年も結婚を延期している最中。しかし、さすがに若い二人をいつまでも結婚させないのも何かと面倒が増える。
それぞれが支度金を用意しようと重労働までするが給金は僅か。パスクアーレは見栄などなく結婚すればよいと思うが、女性はそうはいかない。
そこで両家相談の元、駆け落ちさせてしまえば事実婚となり、結婚式を挙げなくて済むと・・・
貧乏ゆえに結婚すらできない恋人たちを描くコメディ。
幼馴染で恋人同士。家族ぐるみで仲良しだが貧乏小作農。共同で結婚式の算段をするが資金がショート。それでも近隣の目もあり、せこい家族と思われたくはない。
結果、駆け落ちという事実婚で乗り切れという話。
ところが、当然というか花嫁は人並の見栄を張りたい願望があり、こまごまと主人公や家族に難癖をつける。
主人公も手っ取り早く肉体交渉を持ちたいという願望があるから、妙な駆け引きになっていく。
それでも両家合同の茶番として駆け落ち後に双方の子供が悪いと言い合いをして結婚式を回避しようとするが、双方の父親から親族一同がどうにも頼りなくて あらぬ方に話が転がっていく。
だから喜劇なのだが、万事大らかというか、牧歌的というか時代がかっていて、のんびりとしたリズムで進んでいく。
笑いのツボは国柄があり、やはり日本人とは違うと感じさせる。ただし、日本人でもラテン系でも男女間の感覚格差はすなわち肉体交渉を意図するのは同じだと感じた。
女性は処女で結婚しないと『傷モノ』扱いという前時代発想も同じ。つまり、その価値観前提で進行するので、現在では差別的だと紛糾されるかもしれない。
それでいて結婚後は女性が主導権を握り、男性を制圧していくのも事実。ゆえに恋人双方の父親が実に頼りなく、文句だけは言うが何ら実力がないから話がややこしくなっていく展開と相成る訳だ。
それが、主人公がもし無事に結婚できても将来は安泰ではなく、きっと同じ轍を踏んでいくのだろうと思うと喜劇ではなく悲劇だとも感じさせる。
貧しいゆえに結婚もままならないという皮肉を込めた作品だが、やはり時代性を感じざるを得ない。