余談雑談 2024年7月27日

声優の訃報。

今回は小原乃梨子、享年88歳。確かに年代的には多く聞くニュースになるし、自分の若い時代から聞き及んでいた声なら当然だ。というよりも、まだ存命だったのかとも驚くのは、最近表舞台での活動が減っていた、もしくは引退状態だったからか。

彼女の訃報はTV各局のエンタメ・コーナーで扱っていたが当然、アニメ声優としての実績のみの紹介だった。

こちらは映画女優の吹替えでの印象しかないが。『十八番』と呼ばれた女優が何名もいて、どちらかというとセクシー系のイメージが強い。ブリジット・バルドー、クラウディア・カルディナーレ、シャーリー・マクレーン、ナタリー・ウッド、アン・マーグレット、キム・ノヴァックなど。一方で、ジェーン・フォンダやダイアン・キートンなど知的なイメージの女優もピタリという『フィックス声優』の印象。

結果、器用な方だったという証左だろう。今と違い、声優になるためのスクールなどなく、普通に舞台俳優としての基礎経験を積んだ時代。舞台はおろか、TVや映画での出演に関してはまったく知らないのだが。というか、当時は自虐的に美人女優の吹替は「声だけ美人」と揶揄されたし、顔見せは海外女優のイメージが崩れると写真も公開しないことが多かったようだ。

ある意味、イメージを大事にするプロ根性だと感じる。初めから『声優』というジャンルのアイドルになろうというスタートではないところに時代性ゆえの矜持を感じる。どうにも口からとか喉元から声を出しているようにしか聞こえないのは老境ということだな。まあ、収音マイクの質が向上したのもあるだろうがね。

だが吹替に関しては、何度も書いているが、TV局というか吹替え版を依頼する制作会社の個性が強くでる。古くはあくまで売れない舞台俳優が多かったが、視聴率を取るための話題性として顔が完全に浮かぶ俳優なりアイドルを起用しだした。

これには好き嫌いがはっきりと分かれるか。TBS版「ウエストサイト物語」はジュリーこと沢田研二、国広富之、大竹しのぶでした。日テレの「ある愛の詩」は山口百恵と三浦友和だったし、中には『たのきんトリオ』と呼ばれた田原俊彦、近藤真彦、野村義男がアテたのもある。これらはあまりTVで洋画など見ない人向けだったろうし、自称映画通は字幕でオリジナル音声が最高と言っていた。

確かに一理ある。他にも人気取りで若いアイドルの吹替が多く作られたが、そもそも可愛いだけのビジュアルで売れた娘でほぼ音痴な上に、演技も分からないのに声だけで感情を伝え、しかも海外の女優の口の動きに合わせろというのが土台無理な話なんでしょうね。

しかし今や「ながら見」が多いからか、もしくは小さなスマホ画面で見るから吹替でないと見る気が失せると言うとか。そもそも1時間半を超える同一作品を見る根気がない若者も増加したとも聞く。これは別なことで才能を発揮する人種になるのだろうね。でないと、単純に劣化だぜ。まあ、こちとらはトイレの問題でシネコンなりでの鑑賞が怖いのは単純に老化ですがね。

でもさ、この便利さがもたらすことは、ヘタすると日本語の語彙数が極端に減り、昔の邦画やアニメ作品も新録で分かりやすい言葉に変更されたりする時代が来るのかな。

否や、きっと違うよな。じゃなきゃ、シャレにならねェぜ。

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