愛情物語 – THE EDDY DUCHIN STORY(1956年)

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スタッフ
監督:ジョージ・シドニー
製作:ジェリー・ウォルド
脚本:サミュエル・テイラー
撮影:ハリー・ストラドリング
音楽:モーリス・ストロフ

キャスト
デューティン / タイロン・パワー
マージョリー / キム・ノヴァック
チキータ / ヴィクトリア・ショウ
シャーウッド / ジェームス・ホイットモア
ライズマン / ラリー・キーティング
12歳のデューティン / レックス・トンプソン
イディス / フリーダ・インスコート
デューティンの父 / ジョン・マイロン
デューティンの母 / グロリア・ホールデン

日本公開: 1956年
製作国: アメリカ コロンビア作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

今回も実在したジャズ奏者の話で第二次大戦前後に活躍したピアニストの話にしてみる。妙に悲劇性が伴う人間ドラマ。

アメリカ、ニュー・ヨーク

1927年、ボストンから有名ピアニストを夢見てデューティン(タイロン・パワー)が洋々とやってきた。人気楽団を率いるライスマンに故郷で褒められ、雇用してくれると思い込んでいたからだ。

ところがそんなものは社交辞令であり、冷たい対応を受けてしまう。まったく相手にしてもらえない彼は消沈し、去ろうとすると有名装飾家のマージョリー(キム・ノヴァック)が声をかけてきた。陽気な彼に惹かれたのか、何か運命を感じたのかライスマンに強い口添えをし、幕間のBGM係として雇用が決まる。

将来が開けたと彼女に謝礼を告げて・・・

実在した音楽家の波乱万丈な人生を描くドラマ。

楽天家というか無鉄砲の田舎出の青年。そんな彼に一目惚れした美女が、ある意味パトロンとなり成功への階段を駆け上り始める。

当然の成り行きで結婚し男児を儲けるが、そこから一転悲劇へとシフトしていく。

最初はテンポ良くありがちなサクセス・ストーリーとして進行するから単調な作品かと思いきや、何ともやるせない転調をみせるのだ。

ある程度、成功して何かを犠牲にすれば済むという問題ではないが、これは実話。

使用される楽曲はスタンダードのジャズなのが、逆に物悲しさを増長させる。そして第二次大戦をはさむので、この手の音楽家はグレン・ミラーを筆頭に『慰問団』として後方支援で陽気な音楽で戦意発揚を促すことが多く、様々な映画でも扱われてきた。だが、本作の主人公は海軍軍人として実戦に参加するのだ。

ゆえにそれまでの華やかなNYでの音楽活動から、ここでも急な変調を見せつけてくる。それも当然、主人公が経験した悲劇を前提にすれば慰問ではなく軍人として生死を賭けるだろうなとも思うのだが。つまり、流れとして音楽を捨てるのだが、戦後の復員後も嫌なドラマが待ち受ける。

楽天家の主人公のイメージが加速度的に変貌し、観客側の気持ちも複雑な心境へと追い込まれていく。

実話に基づいているので仕方ないが、ミュージシャンが酒か麻薬に溺れて自滅していくのとは違う展開なので何ともやるせない気持ちになるのだ。

素直でなくなり前向きで活動的な性格も失せ、更に悲劇へと向かっていく。

主役を張ったタイロン・パワーも44歳で夭逝しているし、実際に本作同様に兵役を体験し戦後日本に進駐した経験を持つ俳優。

そういった歴史的事実を対比すると何とも妙なシンクロニシティを感じる。

演奏シーンも実際にカット割りで誤魔化すのではなく、実際にパワーが鍵盤を弾くバスト・ショットが多用される。しかし、当然音源は別人でカーメン・キャヴァレロが演奏している。

有名スタンダード曲ばかりが登場するのでスイング・ジャズなりスタンダード曲のファンは楽しめるし、その編曲やピアノの演奏スタイルが激変したりするので主人公の心の痛みや葛藤を感じられる。

当時、日本で大ヒットした流麗なメイン曲ながら、実際の内容は複雑で一筋縄ではいかないのが音楽人だと見せつけてくる人間ドラマである。

余談雑談 2024年8月31日
ノロノロでも動くことは動く。 今回の台風。三日ぐらい前と違う進路で進んで来て予想が難しいとどのTVでも予報士が言っていた。それも迷走型で、まるで人生の如しと感じる自分。 相手は自然だ、人間なりAIの計算通りにはならない。しかも災害が絡むから