パトリス・ルコントの大喝采 – LES GRANDS DUCS(1996年)

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スタッフ
監督:パトリス・ルコント
製作:ティエリー・ド・ガネ
脚本:P・ルコント、セルジュ・フリードマン
撮影:エドゥアルド・セラ
音楽:ジャン・クロード&アンジェリーク・ナション

キャスト
カルパンティエ / ジャン・ロシュフォール
コックス / ジャン・ピエール・マリエール
ヴィアラ / フィリップ・ノワレ
カルラ / カトリーヌ・ジャコブ
シャピロン / ミシェル・ブラン
マルソー / ジャック・ノロ
ジャンヴィエ / ジャック・マトゥー
クレメンス / マリー・ピレ
ジュリエット / クロチルド・クロ

日本公開: 1996年
製作国: フランス バック・フィルム作品
配給: アルシネテラン


あらすじとコメント

自分の病状診断を聞くのが怖くてパリのあちらこちらを動き回る女性歌手を描いた「5時から7時までのクレオ」(1961)。今回は神経質なオジサン俳優たちがパリを舞台に素っ頓狂に動き回る話。

フランス、パリ

端役専門のくせに大物だと信じる老俳優カルパンティエ(ジャン・ロシュフォール)は、舞台にかかる喜劇「スクービードゥー」がヴェテラン役者三名を募集していると聞いた。

何とか自分だけでもと売り込みに行くが、興行師はあくまで三人でセットだと断られる。ならば、と引退しているが復帰を考えているヴィアラ(フィリップ・ノワレ)を誘い、もう一人はかなりの激情型のコックス(ジャン・ピエール・マリエル)を仕方なく誘った。しかし、せこいコックスはギャラが高額でないと受けないと騒ぎだす。

ところが興行師の方は、中止にして保険金を貰い、スタッフキャストを見捨てて高飛びを考えていた・・・

大根役者のくせにプライドが強いおじさんたちの喜劇。

端役の掛け持ちで走り廻る主人公。引退しながら、どこか未練がある神経質で臆病なおじさん。破壊的で起伏の激しいおじさんの三人組。

共通しているのは、揃いも揃って『大根役者』であること。そこにいかにも「いかがわしい」興行師とプライドが高いヒロインを演じる中年女優が絡んでくる。

ストーリィとしては、同じメンバーたちで地方巡業をする展開になっていく。しかし三人組は台詞はアドリブで大丈夫とか、衣装が気に入らないとか、稽古なのにあがり症で台詞が飛んでしまったりと問題ばかり起こす。

それでも自分たちのプライドは傷付かないように振る舞う。となれば当然のことながら興行師やヒロインに嫌われ、三人一緒にクビを宣告される。

それで反省でもするのかと思いきや、そういうところだけは長けているから始末に悪いのである。とはいえ興行師だって保険金持ち逃げを決めているのだが。

何とかギャラまで上げて居残ることになるが、続いて主人公はヒロインを篭絡しようとしたり、女装役の一人はゲイに付きまとわれたりと更に問題が発生していく。

かなりの芸達者なヴェテラン俳優たちが、いかにもの大袈裟な演技で笑わせてくる。やはりフランス的「くすぐり」もあり、それが逆に理解に苦しむ場面もある。

何よりもフランス映画特有の「エスプリ」が少なく、起伏に欠けるが残念。いかにもヘタクソなオジサン三人組は、敢えて役として演じているのだろうがアンサンブルとしては成立せず、あくまで個人優先なのが、妙に鼻に付く。

最後は一応の大団円に向かうのだが、些かそこにも疑問符が付いた。無理矢理感と、これで良いのだという思い込み。それが合う観客と合わない観客をはっきりと分けているとも感じる。

トータル的にみても、やはり外国の喜劇は難しいとも感じさせる作品という印象で幕を閉じる。

余談雑談 2024年10月26日
確かに長い付き合いだよな。 40年近く通う「もつ焼き屋」。場所は三河島という少し場末感がある場所。昔からあまりにも汚く、とても他人に紹介できるような店ではない。侮辱ではなく、懐かしさの意味を込めて戦後の闇市的店構え。 ただ親父さんのこだわり