タンゴ – TANGO(1992年)

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スタッフ
監督:パトリス・ルコント
製作:アンリ・プリシェッティ
脚本:パトリス・ルコント
撮影:エドゥアルド・セラ
音楽:アンジェリーク&ジャン・クロード・ナション

キャスト
パラデュック / リシャール・ポーランジェ
ド・ネムール / フィリップ・ノワレ
マリー / ミュウ・ミュウ
ポール / ティエリー・レルミット
マドレーヌ / ジュディット・ゴドレーシュ
エレーヌ / ミシャル・ラロック
ベルホップ / ジャン・ロシュフォール
女性客 / キャロル・ブーケ
エスコヴァル / マキシム・ルロー

日本公開: 1993年
製作国: フランス シネア・アシェット作品
配給: アルシネテラン


あらすじとコメント

フランスのパトリス・ルコント監督作で継げる。前回は売れないオジサン俳優三人が繰り広げる自業自得的コメディだった。今回は不謹慎というかブラックというか、やはり男三人が繰り広げる何ともシニカルなコメディ・ロマンス。

フランス、ガール

軽飛行機乗りのパラデュック(リシャール・ポーランジェ)は一風変わった男。美人の妻を溺愛しているが、その妻といえば彼の飛行中に間男を招き入れては浮気に励む女性。

その事実を知ったパラデュックは別人に飛行させておいて浮気の確証を得ると間男の乗る車を特定し、今度は上空から間男に近付き超低空のあおり飛行をし、運転を誤らせ事故死させた。そして今度は結婚記念日に妻を乗機させ曲芸飛行で妻のみを落下させ殺害してしまう。

当然、裁判員裁判になるが、何故か無罪放免。そんな彼が隠遁生活を決め込んでいると6年後、当時の裁判の担当判事ド・ネムール(フィリップ・ノワレ)が気弱そうなポール(ティエリー・レルミット)を連れて突如訪問してきた。

何とポールに愛想を尽かして出て行ってしまった妻を殺害して欲しいと。驚くパラデュックだが、判事はあの時は自分の誘導で無罪にしてやったんだ、これを断ると当時お前を有利にするべく隠した診断書を提出する。

そうなれば再審で20年の実刑判決になると・・・

男女共々の身勝手さと自由さを描くシニカル系ラブ・コメディ。

妻と間男を殺害した身勝手な奇人。そして再審をネタに脅してくる判事と妻に捨てられた男。

この三人がメイン。内容は自分を棄てた妻を殺さないと未練が残り、次のステップへ踏みだせないと嘆く甥っ子に同情したのが判事様。でもって、同じように妻の露骨な浮気から殺人を犯した主人公を巻き込んで再度女性殺害を目論むというお話。

この時点でブラックなコメディだと解るし、更に気弱な甥っ子の妻はアグレッシヴなタイプで、さもあらんと思わせる。

男三人はレンタカーで逃げた奥さんの実家へ向かうが、何と奥さんは「国境なき医師団」に同行してアフリカに行ってしまったと知る。奥さんはどこまでもアグレッシヴだ。

三人はアフリカまで追いかけようとするが、甥っ子はどんどん精神を病み、遂には精神薄弱状態に陥ってしまい暴挙にでるようになる。

それでも達観した態の判事は、そもそも結婚などするから人生に失敗すると嘯きながら初志貫徹とばかりに追いかけさせようと画策していく。

途中で甥っ子のアヴァンチュールもでてきたりするが、何とその相手だって実に問題ありな女性で、どうにもこうにも本作に登場してくる男たちは『クズ』ばかりという印象を与えてくる。

かといって女性たちも決して褒められたもんじゃないのだが。

そのあたりにフランス的シニカルさと人生なんぞ理想的に進行しないし、かといって我慢だってしないという、「おおらかさ」というか「超身勝手な大人」ばかりであると示してくる。

コメディの他にもあまりにもご都合主義的な展開もあり、妙にファンタジー性もある。殺人あり、暴力事件あり、一夜のロマンスありと彩り鮮やかな展開ではあるのだが、タイトルの「タンゴ」が何を意味するかと思うのは観る側次第と感じさせる。

というわけでいかにも通ぶったフランス映画。

余談雑談 2024年11月2日
己の老化とか、劣化とか。 ここで扱う予定の作品は一応、発行予定の順番通りに再鑑賞して原稿を起こすようにしている。あまりにも昔の鑑賞過ぎると勝手な脳内変換で間違いを書いてしまうから。寄る年波で冷静よりも思い込みが優先する自分。 なので一応、書