墓場なき野郎ども – CLASSE TOUS RISQUES(1960年)

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スタッフ
監督:クロード・ソーテ
製作:ロベール・アモン
脚本:クロード・ソーテ、ジョゼ・ジョヴァンニ、P・ジャルダン
撮影:ギスラン・クロケ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー

キャスト
ダヴォス / リノ・ヴァンチュラ
リリアンヌ / サンドラ・ミーロ
スターク / ジャン・ポール・ベルモンド
ナルディ / スタン・クロール
ギヴェリン / マルセル・ダリオ
テレーズ / シモーヌ・デスメゾン
ギヴェリンの娘 / エヴリン・カー
ソフィー / ミシェル・メリッツ
シャピュイ / ルネ・ジュラン

日本公開: 1960年
製作国: フランス ロベール・アモン作品
配給: 新外映


あらすじとコメント

前回紹介した「ハーフ・ア・チャンス」(1998)で、日本で大人気だったアラン・ドロンよりも、格の違いを見せつけたジャン・ポール・ベルモンド。今回も彼がサブで出演しながら印象を残したフィルム・ノワールにする。主演は大の御贔屓俳優リノ・ヴァンチュラ。子連れのギャングという面白い設定の作品。

イタリア、ミラノ

欠席裁判で死刑判決を受けつつ逃亡を続けるギャングのダヴォス(リノ・ヴァンチュラ)と相棒ナルディ。イタリアでの捜査網が狭められてきて追尾の手が冷めたフランスへ戻ろうと画策していた。

それには資金が必要とばかりに白昼堂々、現金強奪を敢行する二人。成功はするものの、想定よりも金が少なく困惑。それでも国外脱出を試みなければならない。しかもダヴォスには妻と7歳と4歳の息子が同行中である。

逃亡を画策するが陸とは無理と判断し、海からニースへ向う計画に変更した。何とかニースに上陸するが運悪く地元警察に見つかり銃撃戦が起きた。

そして相棒と妻が死んでしまい・・・

実在したギャングを描くフィルム・ノワールの佳作。

家族連れのギャング。かつては多くの仲間らと幾多の犯罪を重ねてきたが、今の相棒は一人だけ。窮地に陥ることもあったが昔の仲間らの手助けで生き延びて現在は逃亡中の身である。

何とか自国に戻るが相棒と妻が死に、主人公と幼子二人の計三人だけが生き残る。またもや窮地に陥るが、古巣であるパリまで戻れば仲間たちが助けてくれるはずだ。

ところが、であるという筋運び。

旧友のひとりがニースからパリまで連れ帰るのに民間救急車を手配した。その運転手役を買ってでるのが一匹狼のジャン・ポール・ベルモンドである。

途中、男に襲われそうになっていた女優を助け看護師として協力を要請することにする。そこには当然ベルモンドの別な思惑もあるのだが。

何とかパリまで戻るが、昔の仲間は主人公が今更戻ることを好ましく思っていないのだ。

散々世話になっておきながら適当に押し付け合う姿に激怒するヴァンチュラ。

そこからはベルモンドと新たなる暗黒街的友情が発生し、真の親友が浮かび上る展開。つまり捨てる神と拾う神である。

その差の描き方も面白い。原作は自身が前科者のジョゼ・ジョヴァンニ。かなり非情な世界と暗黒街で生きる男のクールさを書かせたら実力を発揮する。

本作は何よりも子連れギャングという異質な設定が面白く、そこに価値観を異にしていった旧友らと新たに主人公を助ける人物たち双方がバランス良く登場してきて進行を助けていく。

登場したり退場したりと人物の入れ替わりが激しい部分もあるが、混乱せずに一本筋の通った進行は脚本家上がりの監督クロード・ソーテの実力であろう。

脚本と監督を兼務したものでは、事故で重傷の男が走馬灯のように人生を振り返る「すぎ去りし日の・・・」(1970)、イブ・モンタン主演のものでは「夕なぎ」(1972)と「友情」(1974)など、どちらかというと静かな人間ドラマを得意とする印象。

また脚本のみではノワールからコメディ、ドラマなど手広く、しかも手堅い内容。本作ではジョゼ・ジョヴァンニの参加もあり、何ともフランス製ノワールの作風を踏襲しつつ、手堅い演出で新人監督とは思えない手腕を発揮している。

主演のリノ・ヴァンチュラとジャン・ポール・ベルモンドも素晴らしく、トータルとしてアンサンブルが上手く奏で合うという結果になったと評価できる作品。

余談雑談 2024年11月23日
街中で頻繁に見かけるようになったモノ。 スマホひとつて乗れる緑色の自動二輪車。颯爽と背筋を伸ばし滑走している。自分の住む古ビルの並びにその駐輪場が出来た。尤も、「Port」と呼ぶらしいけど。 今の自分には自転車もないので便利かもだ。歩いても