犯罪河岸 – QUAI DES ORFEVRES(1947年)

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スタッフ
監督:アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
製作:ロジェ・ド・ヴェンルー、ルイ・ウィフ
脚本:H・G・クルーゾー、ジャン・フェリー
撮影:アルマン・ティラール
音楽:フランシス・ロペス

キャスト
アントワーヌ警部 / ルイ・ジューヴェ
ドラ / シモーヌ・ルラン
マルティノー / ベルナール・ブリエ
ジェニー / スージー・デレア
ラフォー / ピエール・ラルケイ
マノン / クロディーヌ・デュピュイ
ブリニョン / シャルル・デュラン
パケレット / ジャンヌ・フュージェ・ジール
レオパルディ / アンリ・アリウス

日本公開: 1949年
製作国: マジェスティック・フィルム作品
配給: SEF、東宝


あらすじとコメント

前回はパリ下町の市井の人間模様に犯罪者が紛れ込む話だった。今回もパリ下町での人間模様と犯罪。タッチはがらりと変わって正統派である。

フランス、パリ

場末のクラブのピアノ弾きマルティノー(ベルナール・ブリエ)は、蓮っ葉な美人歌手ジェニー(スジー・ドレール)と結婚したが、彼女は上昇志向が強くそのためにセクシー路線で売り込もうとする姿に喧嘩が絶えない日々。

そんなマルティノーには、彼を慕うドラ(シモーヌ・ルナン)という写真館を営む幼馴染がいた。ある日、成金のイヤらしい老人ブリニヨンが仕事を斡旋するとジェニーを篭絡し始める。気が気でないマルティノーとドラだが、当の本人はいざとなれば軽くかわすからと取り合わない。

そしてある晩、皆に黙って成金老人の家に行ってしまうジェニー。ところがその後、文句を言いに行ったマルティノーが老人の死体を発見し・・・

奇妙な夫婦や取り巻きたちが思惑で混乱していく犯罪ドラマ。

プチ・ブルジョワのピアノ弾きの亭主。幼少時代の貧乏育ちから上昇志向で、且つ自惚れが強い歌手の妻。そしてピア弾きを慕う写真館の美女。

夫婦は揃って場末のクラブに勤めていて、気の良い仲間たちにも囲まれている。そして金満家の老人が殺害され主人公である警部が登場してくる。

この警部も訳ありで結構粗っぽいタイプ。地道な捜査から手掛かりを探り始めるが、実は歌手の妻がどうやら絡んでいると知り、亭主や写真館の美女が別々に隠れて画策し始めるから様々に混乱が生じて行く内容。

時代性もあるが、かなり強引な捜査と犯罪者ではない素人たちが勝手にベストを尽くそうとしていくのが妙味ではある。

監督のアンリ・ジョルジュ・クルーゾーは脚本家出身で、サスペンス系を得意とした。本作も当時としては中々クールでシャープな演出である。

どの登場人物もかなり個性的で伏線の張り方もハッタリ感を醸しつつの展開なので楽しめる。

ルイ・ジューヴェ演じる主人公の警部が強烈であり被疑者たちを結果的に追い詰めていく凄味が、別な意味で興味深い。

確かに警察嫌いを公言し非協力的な市民たちに納得はする。だが、結局何かあると頼って来るよなと冷たく言い放つタイプ。正論なので反論も出来ないし、鋭い射貫くような目で言ってくるので市民たち落ち着けない。

場末のショー・クラブの催し物や、それらが小さなサスペンスを生んでいく過程も当時としては練られている。

ハリウッド製の犯罪映画とは違うフランス特有のいびつなノワール感が全編を覆い、雨や雪の使いかたにも妙味がある犯罪ドラマ。

余談雑談 2025年2月8日
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