スタッフ
監督:ヒューゴ・フレゴネーズ
製作:ロバート・ゴールドスタイン
脚本:シドニー・ボーム
撮影:スタンリー・コルテス
音楽:ポール・ダンラップ
キャスト
カネッリ / エドワード・G・ロビンソン
ハティ / ジーン・パーカー
マニング / ピーター・グレイヴス
スローコム牧師 / ミルバーン・ストーン
エレン / シルヴィア・フィンドレイ
スチュワート / ウォーレン・スティーヴンス
カーソン / ジャック・ケリー
モリス / ジェームス・ベル
ハート医師 / ヴィック・ペリン
日本公開: 1955年
製作国: L・ゴールドスタイン・プロ作品
配給: ブレイクストン、新外映
あらすじとコメント
今回も脱獄後に更に犯罪を重ねる男を描くアクション・スリラー。完全B級作ながら展開に妙味があり、良い調子の展開で見せる作品。
アメリカ、ニュー・ヨーク
シンシン刑務所に収監されている凶悪殺人犯カネッリ(エドワード・G・ロビンソン)は死刑を翌日に控えていた。隣の独房にも明日の処刑が決まっている若き殺人犯マニング(ピーター・グレイヴス)がいる。
それでも不敵に看守らに文句を言うカネッリ。何故なら情婦ハティ(ジーン・パーカー)と手下が策を巡らし、看守長の一人娘を誘拐し脱獄に加担させる手筈であったからだ。更に死刑執行室前の記者席に入るために記者のカースン(ジャック・ケリー)をも巻き込む計画という念の入れよう。
結果、執行直前にカネッリとマニングら囚人四人、それに立ち合いの医師らを人質に取り脱獄に成功するが・・・
凶悪殺人鬼が周囲を巻き込んで起こす脱獄アクション。
主人公が隣房の若き殺人者を同行させるのは彼が隠し持っている大金を回収後に飛行機で国外逃亡を企てていたから。
ところが脱獄時の銃撃戦で若い囚人が負傷。いきなり計画が狂いだす。ならば更なる人質は後々有利だと一同で秘密のアジトに向う。
そこには愛人と手下の他に看守長の娘、新聞記者も既に人質になっており、更に脱獄時に連行した看守、医師、牧師らが加わる。
これほど人数が増えるとややこしいと想像するが、そこは極悪脱獄犯。平気で銃を向けるし、警察だって発見次第、撃って来るから犠牲者がどんどん出ていく展開。
ストーリィとしては飛行機での逃亡が不可能になり、重傷の若き囚人にわざわざ銀行の貸金庫まで行かせたりするサスペンスや記者と看守長の娘の淡い恋心があったりと、ある程度の展開が起きて面白い。
主役を演じるエドワード・G・ロビンソンは悪役は得意中の得意であり、本作でも極悪非道で躊躇いなく銃をぶっ放し殺人を重ねていく。
監督のヒューゴ・フレゴネーズはアルゼンチン出身の監督で、作品によってかなりムラがある印象。どうしようもない駄作も多いが、本作はそれなりに端折るところと時間をかけるシーンのメリハリもあり、緩急の付いたカット割も飽きさせないので成功作の部類に入る。
愛人はいかにも悪女だし、看守長の娘は清楚系。その父親である看守長は脱獄時に主人公に射殺されるので既に悲劇のヒロインではあるのだが。
善悪双方にかなり死者が出るのには驚くし、B級らしい珍妙さも感じるがバランスの取れた作品に仕上がている。
ただし、誰も知らない映画だろうなとも感じる。だからこそ逆に、偶然出会うとゾクゾクしてしまう類の作品でもあるのだが。
