抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より- – UN CONDAMNE A MORT S’EST ECHAPPE OU LE VENT SOUFFLE OU IL VEUT(1956年)

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スタッフ
監督:ロベール・ブレッソン
製作:アラン・ポワール、ジャン・トゥイリエ
脚本:ロベール・ブレッソン
撮影:レオン・アンリ・ビュレル
音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト

キャスト
フォンティーヌ中尉 / フランソワ・ルテリエ
ヨスト / シャルル・ル・クランシュ
デレリス牧師 / ローランド・モノ
オルシニ / ジャック・エルトー
テリー / ロジャー・トレーン
エブラー / ジャン・ポール・デルモー
囚人10号 / ジャン・フィリップ・ドゥラマール
看守長 / ジャック・オールマンス
護衛官 / レオナール・シュミット

日本公開: 1957年
製作国: フランス ゴーモン作品
配給: 新外映


あらすじとコメント

今回も脱獄モノ。正確に言えば戦時中の捕虜なので脱走ものではある。実にシャープでクールさが漂う地味ながら印象に残る作品。

フランス、リヨン

1943年ドイツ占領下のとき。この地に軍人から市民までドイツに対する抵抗運動加担者が収容される刑務所があった。

そこにフォンティーヌ中尉(フランソワ・ルテリエ)が移送されてきた。何度も逃げようとし、その度に重罪となり死刑が予想されてる男だ。彼はナチスから拷問を受けた後、狭い独房に放り込まれた。向こうからすればこれで大人しくなるだろうと。

しかし、静かに脱走の機会をうかがってたフォンティーヌ。先ずは一階の独房なので中庭を散歩できる老人の一人と仲良くなり、筆記具や外部との連絡の可能性の有無等の情報収集にあたった。しばらくすると三階の独房へ移動となってしまい情報収集は一からやり直しと相成ってしまう。

だが三階ゆえに歩哨の周回頻度が甘いと知り、実際の脱走計画を綿密に立案する。そして密かに準備に取り掛かったが・・・

実話を元にした軍人の脱走を描くクールな佳作。

度重なる脱走行為で死刑が決まる将校。劣悪な環境の独房に収監されるが、様々な周囲の仲間らと意見交換をしつつ脱走計画を練り、それを実行に移していく。

手記がベースなので主人公の「独り言」がメインで当時の状況から展開、進捗を説明しつつ映像化していく作劇。

冒頭は護送中の車からの隙を伺いつつ脱走を考えている主人公と同乗者の困惑の顔が映され何度もドアの取っ手に手をかけたり止めたりの緊張感あふれるシーンから始まる。

この何度も躊躇するのでサスペンスが喚起されるのだが、後に死刑が決まり挙句の命懸け脱獄に至るまでの中で様々な仲間との出会いと別れが描かれ、結果的に主人公が躊躇ばかりしていくことになる。

独房のドアが木製であることから取り外せるだろうかとか、削ったりする道具のスプーン調達に始まり、気の遠くなる時間をかけコツコツと進め、ロープや手鉤の自作過程などを細部にわたり克明に描いていく。

主人公のアップを多用することで説明調の独白を際立たせ、地道な活動は音の有無で緊張感を高めていく。

その作劇は見もの。音楽も冒頭にモーツアルトの「鎮魂歌」が流れる程度。それ以外は映像で観せるよりも銃の音や鈍い衝撃音で「殺人」をイメージさせるので、逆に印象的な起用法だと感心した。

更に有名俳優は出演していないので登場人物の誰にもリアリティがあり、それぞれの性格描写だけでも緊張感を生みだしてくる。

淡々とした地味な作業行為や、洗顔時の仲間内でのひと言ふた言の会話でサスペンスを感じさせるなど、静かなる積み重ねが緊張感を持続させる。

娯楽性を一切排除した作劇ゆえにアメリカ映画とは完全に一線を画すクールでシャープな印象が強い作品。

余談雑談 2025年3月29日
何が原因なのか。頻繁に回線が途切れるPC。超有名観光地ゆえに四六時中様々な外国人が現地時間に合わせて使用するからなのか、もしくはどこかのサイバーテロのような電波妨害工作なのか。とにかく、頻繁に切れる。勝手にすぐ復帰することもあるし、逆に何度...