第27囚人戦車隊 – WHEELS OF TERROR(1986年)

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スタッフ
監督:ゴードン・ヘスラー
製作:ユスト・ベッツァー、ベニー・コルツェン
脚本:ネルソン・ギディング
撮影:ジョージ・ニコリック
音楽:オーレ・ホイヤー

キャスト
ポルタ伍長 / ブルース・ディヴィソン
レジオネア / デヴィッド・パトリック・ケリー
バリング大尉 / D・W・モフェット
ティニー / ジェイ・O・サンダース
将軍 / オリヴァー・リード
フォン・ヴァイスハーゲン大佐 / デヴィッド・キャラダイン
ステ─ゲル伍長 / フランコ・ヴィダコビッチ
ハッセル / スラヴコ・スティマック
バウアー / ポリス・コムネニッチ

日本公開: 1987年
製作国: 米、英、デンマーク パノラマ・フィルム作品
配給: ヘラルド


あらすじとコメント

前回の「P・O・W 地獄からの脱出」(1985・未)の主演にして、同じく大佐役で出演したデヴィッド・キャラダインが見られる戦争映画を紹介。とはいっても主役は元囚人たち。斜に構えた戦争活劇として、そこそこ楽しく鑑賞できる作品。

ロシア 東部

1943年、既にドイツ軍の敗戦が色濃くなっていた時期。撤退が続きながらもまだロシア領内150キロの地点に展開しているドイツ軍。

その中に元囚人のみで編成された戦車小隊がいた。リーダー格はポルタ伍長(ブルース・ディヴィソン)で、他には元教師ながら反戦活動をした者、学生運動家、イスラム教の政治犯など、実に問題ありの面々。

ある晩、上官で英雄気取りのフォン・ヴァイスハーゲン大佐(デヴィッド・キャラダイン)を面白半分で服務違反者として逮捕したことから、彼らの上官である警備隊長も含め、危険な最前線へ転属させられてしまい・・・

犯罪者部隊が活躍する戦争アクション。

どちらかというと真面目で規律正しい印象があるドイツ軍。

しかしそれはあくまで勝手なイメージで日本映画でも元ヤクザとかやさぐれ者が主人公の戦争映画も多くある。

海外でもロバート・アルドリッチらしさ全開の佳作「特攻大作戦」(1967)や、B級映画の雄ロジャー・コーマンの快作「侵略戦線」(1964)なども本作同様、前科者たちの兵士がメインである。

そういった点では目新しさはないが、日本同様に結果は敗戦国になるので妙な悲壮感も漂う。ただし、だからこそ設定が『負け』に向う集団であることが妙味を喚起させもする。

将軍や英雄気取りの高級上官を悪役にし、敵のソ連軍でも兵士たちは単純な下々として描かない。あくまで主人公らは「ナチス」と「親衛隊」が大嫌いなのだ。

つまり特権階級や優位性から侮蔑感をだしても当然という同国人同士こそが心底憎む相手であるとハッキリ言わせる。

そうはいっても、これも設定としては散々映画で描かれてきた。つまりどこかに「つぎはぎ感」の漂う人間性や状況設定の作品になってもいる。

それでもソ連製の戦車や車両が大量にでて来るのは迫力がある。メインのロケ地もユーゴスラヴィアだから旧ソ連の車両が登場してくるのも分かるし、戦闘場面も金が掛かっていると感じさせ迫力がある。

他方で対戦車爆弾を取り付けた『特攻犬』の設定や、娼館での西部劇を思わせる乱闘騒ぎとか妙にトボケタ感もあり、それでもキチンとした作劇でそのバランス感覚は気に入った。

ただし、誰にでもおススメできる作品ではないのも事実。前科者にも五分の魂とばかりに個々の価値観があるが、当然身勝手で仲間意識もあるような、ないような設定。

敗軍の態のラストであるにしても、流石に軍隊としてはやり過ぎだろうとも感じる。

全体の印象としては、硬軟取り混ぜた「ごった煮」的映画であり、あくまで派手な戦闘シーンが好きな人にはお勧めできる作品であろうか。

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