鬼戦車T-34 – ZHAVORONOK(1964年)

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スタッフ
監督:ニキータ・クリーヒン、レオニート・メナケル
脚本:ミハエル・ドゥディン、セルゲイ・オルコフ
撮影:ヴィクトル・カラショフ、ニコライ・ジーシン
編集:リス・アイザックソン
音楽:ヤコフ・ヴァイスブルト

キャスト
マーシャ / ヴィアチェスラフ・グレンコフ
ピョートル / ゲンナディ・ユクチン
アリョーシャ / ヴァレリー・ポゴレンツェフ
プジョー / バレンティン・スクルメ
親衛隊大尉 / ブルーノ・オヤ
カール少佐 / アーヴィン・アベル
国防軍大佐 / ザニス・カトラップス
砲兵指揮官 / ヘイノ・マンドリ
ドイツ兵 / グナールズ・プリージング

日本公開: 1965年
製作国: ソ連 レンフィルム・スタジオ作品
配給: 東京第一フィルム


あらすじとコメント

前回は第二次大戦下で敗戦色濃いドイツ軍が囚人を使って戦車隊を編成する話だった。今回はドイツ軍捕虜のロシア人が戦車を奪って脱走する、どこか牧歌的な雰囲気もある戦争映画。

ドイツ東部

1942年6月下旬。とある捕虜収容所にナチスの大尉(ブルーノ・オヤ)がやって来て戦車部隊に所属していた者がいないかと詰問した。知らぬ振りをする捕虜たちだが、その中に本当に戦車部隊に所属していたマーシャ(ヴィアチェスラフ・グレンコフ)がいた。

ナチスの大尉は、彼の他に数名を選ぶと修理工場へ送致させた。そこにはダメージを受けたロシア軍のT−34号戦車が数台あり、全車を至急修理しろと厳命される。

そして修理が終わるとそのまま乗車し、とある丘へ向かわされた。丘の周囲にはドイツの大砲が設置してあり、突如砲撃を受けることになる。それはドイツ軍が敵主要戦車の弱点を探るためにあらゆる角度への射的対象車両だったのだ。

しかも被弾した戦車から脱出した捕虜は、ついでとばかりに射殺されていた。

そんな状況下でも冷静に被弾を避けたマーシャは大佐から認められた上、命を救われて更に修理に励めと言われて・・・

元戦車兵らが修理した戦車を奪取して活躍する戦争映画。

エリート意識が高いナチス高官に目をかけてもらったのは、従順そうに見えて実はしたたかな元ロシア軍の戦車兵。

同じチームには厭世的な兵士、血気盛んな少年兵、そしてロシア語を一切理解できない囚人服姿のフランス人。

当然、再度標的に駆り出されることを承知で作戦を立て、まんまとナチス高官や将軍の前で堂々と実車したまま脱走する。だが、燃料は積載しているものの砲弾などの武器は積んでいない。

つまり象の如く、車体自体の重量で乗って敵の大砲や車両を潰していくという攻撃しか出来ないのだが。

主人公はすぐに他の三名にチェコへ向えと別行動を勧める。ところがフランス人だけは残ると胸を張り、主人公とひと暴れすると。しかし、別行動をとったロシア兵二名は早々に発見され追い詰められていく。そこに救援に来るのが戦車である。

敵国内でロシアの戦車が躍動的に動き回る。戦時下でありながら地方はどこかノンビリとしていて、捕虜として農作業に駆り出されていたロシア女性たちからは熱烈歓迎を受けたり、小さな町の広場に突如敵戦車が登場して地元警察はパニックになったりと妙に牧歌的な進行。

確かに田舎に主力部隊はいるはずもなく、爆撃や破壊工作もない地域。各町には歩兵隊しかいないのでマシンガン程度では太刀打ちできるはずもない。

ある意味、戦車が走り回るだけの映画なので、どこか牧歌的な印象。それでもすべてホンモノの戦車で重厚感があり、しかもロシア製という機能性やデザインよりも単純さが優先される戦車なので、何とも無骨で、まるで『象』の如しなので、そこも妙に荒涼たる周囲に馴染むのかもしれない。

ただし、これは実話である。ロシアでは当然英雄的行動として認知され、「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」(2018)としてリメイクされている。

本作はソヴィエト連邦時代に製作されているので本作の主人公ら同様無名の兵士たちが祖国を守ってきたという発揚映画の態でもある。

それにしては大らかさが勝るので興味深い。

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