スタッフ
監督:江崎実生
企画:柳川武夫
脚本:池上金男
撮影:横山実
音楽:山本直純
キャスト
有坂少尉 / 石原裕次郎
李元成 / 伊藤雄之助
倉吉麻美 / 十朱幸代
工藤軍曹 / 玉川伊佐男
邦枝上等兵 / 小松方正
山下光子 / 伊藤るり子
前田一等兵 / 武藤章生
松本一等兵 / 中尾彬
岡二等兵 / 山内賢
山村大尉 / 川津祐介
製作国: 日本
配給: 日活
あらすじとコメント
終戦の日。しかし戦地では、そう単純に戦闘は終結しない。それをアクションたっぷり描いた娯楽大作。
中国、図們
昭和20年8月9日、満鮮国境に位置する軍需物資集積地。
そこは独立鉄道第三十六部隊が警備統括にあたっていた。しかし、日本軍は圧倒的劣勢な状況で、且つ抗日ゲリラによる襲撃や武器盗難に遭い、兵士たちの士気も低下していた。
そんな時に有坂少尉(石原裕次郎)が着任してきたところが突然ソ連が日本に対して攻撃を開始。集積場も戦闘機で襲撃された。大隊長は、ただちに有坂と訳アリ兵士七人を奥地からの撤退者救護と脱走した西二等兵(山内賢)の捜索を命令し、大隊自体は北朝鮮への撤退を決めた。
抗日ゲリラの攻勢も強まる中、脱走兵がいると思われる集落に向うと闇商売の李元成(伊藤雄之助)と日本人女医倉吉麻美(十朱幸代)に看護されてる脱走兵を発見。
近くの駅舎から無線連絡をしようとすると日本が敗北し、無条件降伏したと知らされ・・・
終戦直後に取り残された日本人らの決死の脱出口を描くアクション。
異端児だが冷静沈着な主人公。どうやら厄介者扱いで赴任してきた当日にソ連が侵攻開始。
博打に明け暮れたり厭戦気分だらけの七人の問題兵を押し付けられ特命を受ける。態の良い厄介払いで戦死しろということだ。
それでも任務遂行とばかりに僻地へ行くと突然の終戦。ところが敵はそんなことはお構いなしに攻撃してくるのは当然だろう。
さて、取り残された駅舎には攻撃を受け放置されたボロ機関車しかなく武器も少ない。その割には敵は何かを恐れ総攻撃してこない。
仕方なく籠城戦になるが、最後の日本への輸送船が出港する期日までには、それなりの距離がある港まで辿り着かないといけない。
つまりタイムリミットがあるという設定。脱走兵は重傷だし、救おうとする日本女性の恋人もいる。
そこに撤退列車が爆破され、命からがら逃げてきた八名の女学生と引率教師まで加わってくる。当然、戦力にはなり得ぬ人間たちだ。
しかも闇商売人の中国人も何やら問題を抱えていると何とも絶望的な八方塞がり的展開を見せてくる。
とはいえ主役は石原裕次郎である。間違いなく頼り甲斐のあるヒーローであるし、絶対にどんな無茶をしたって弾丸が避けてくれるのは周知の通り。
それでもそれなりに練られたストーリィと伏線回収も考えられており、広大な土地で閉塞感を感じさせる進行と展開は飽きずに観ていける。
ただ、問題兵の設定は岡本喜八の出世作「独立愚連隊」(1959)シリーズの亜流だし、オンボロ機関車による戦闘アクションは、J・リー・トンプソンの隠れたる佳作「北西戦線」(1959)にそっくり。
つまりオリジナリティには欠けるのだが、細かい展開の妙味に腐心した形跡は感じ取れる。
かなり大雑把な作劇なので緻密なサスペンスやリズミカルな編集の妙味には欠けるので、どこかまったりとして一定感に乏しい雰囲気なのは御愛嬌だろうか。
