スタッフ
監督:ハンフリー・ロンガン
製作:ミーノ・ロイ、ルチアーノ・マルティーノ
脚本:ウンベルト・レンツィ、チェザーレ・フルゴーニ
撮影:フェデリコ・ザンニ
音楽:フランク・マイケルズ
キャスト
スコット大尉 / ジュリアーノ・ジェンマ
フォスター将軍 / ヘンリー・フォンダ
ローランド少佐 / ステーシー・キーチ
ジンメル中尉 / ヘルムート・バーガー
アナリーズ / サマンサ・エッガー
ジョン少尉 / レイ・ラヴロック
オハラ教授 / ジョン・ヒューストン
ダニエル / エドウィジュ・フェネシュ
シビル / イヴリン・スチュワート
日本公開: 未公開
製作国: イタリア、西独、ユーゴ チタヌス作品
配給: なし
あらすじとコメント
前回扱った作品では実在した抵抗運動の英雄を演じたジュリアーノ・ジェンマ。今回は何故かイギリス軍人を演じたいかにものイタリア製戦争大作にする。
ドイツ、ベルリン
1936年、ベルリンオリンピックが開催され、連絡役員としてアメリカのフォスター将軍(ヘンリー・フォンダ)が夕食会にやってきた。
しかも道で立ち往生して困っていた大人気歌姫アネリーズ(サマンサ・エッガー)を連れてきたので驚いたのは主催者でドイツ側の役員ローランド(ステーシー・キーチ)だ。何故なら彼女の大ファンであり大変光栄だと喜んだ。
そこに来たのがイギリスの役員で古典学者オハラ(ジョン・ヒューストン)。彼らは大会の成功を祝し、また四年後に再会しようと別れた。
しかし第二次大戦が勃発し、オハラは従軍記者として戦地に赴き、フォスターは後方支援ながら次男のジョン(ライ・ラヴロック)が志願将校として北アフリカ戦線へ派兵された。
ドイツのローランドとアネリーズは結婚したが、夫の方は戦地へ赴任。しかし、残ったアネリーズがユダヤ系で・・・
各国の人間が戦争に翻弄されていく姿を追う戦争巨編。
それなりに多くの人間が登場してきて、それぞれの姿が描かれていきながら派手な戦闘場面が挿入される。
いかにものイタリア製戦争映画である。登場人物として主役はイタリア人なのに英軍コマンド部隊隊長役で苦戦ばかりするジュリアーノ・ジェンマ。
他にルキノ・ヴィスコンティ作品の常連ヘルムート・バーガーがドイツ将校役で、占領下のフランスで娼婦に堕ちる女性を救おうとする善人役で登場。
更には実在したパットン将軍まで登場してきて賑やかではある。
メインとなる戦線はギリシャから北アフリカ。既にドイツ軍は劣勢であり参戦者はそれぞれの立場で苦労し戦死する者もでて来る。
尚且つ、後方の女性にも悲劇が襲いかかるので、それなりだがストーリーに派手さはある。
しかし、どれも中途半端で収拾がついていないのも事実。
どこか食い散らかしている印象なのは、派手な戦闘場面が殆ど他の映画からの流用だとハッキリと分かるなど、何とか映画としての良い所取りだけして誤魔化そうとする監督の力量ゆえだろうか。
比較作として、ほぼ同じ設定でベルリンオリンピックで知己を得た男たちが戦争勃発で敵味方に分かれる悲劇に女性や息子が絡む「戦争と友情」(1978)がある。個人的には派手さは弱いがバランス等を考えるとそちらの方が好みである。
本作は誰が見ても分かりやすい進行と作劇を心掛けた点では評価できるが、やはりイタリア人が作った映画だなと感じざるを得ない、それなりの大作。


