スタッフ
監督:ポール・シュレイダー
製作:バズ・フェイドシャンズ、ジョン・ミリアス
脚本:ポール・シュレイダー
撮影:マイケル・チャップマン
音楽:ジャック・ニッチェ
キャスト
ヴァンドーン / ジョージ・C・スコット
マスト / ピーター・ボイル
ニキ / シーズン・ヒューブリー
デジョン / ディック・サージェント
クリスティン / イラー・ディヴィス
ラタン / マーク・アライモ
メアリー / ビビ・ベッシュ
バローズ刑事 / ラリー・ブロック
ラマダ / レナード・ゲインズ
日本公開: 1982年
製作国: アメリカ コロンビア作品
配給: コロンビア
あらすじとコメント
前回の「ザ・ヤクザ」(1974)で脚本を手掛けたポール・シュレイダー。その他には「タクシー・ドライバー」(1976)、「ローリング・サンダー」(1971)とヴェトナム戦争帰還者の闇を描いた作品も書いた。その彼が脚本と監督を兼ねた作品を紹介する。真面目な中年男と相反する闇の世界を描く力作。
アメリカ、ミシガン州
キリスト教の中でカルヴァン主義という、すべての上に神が主権を持つという考えを強く信仰するヴァンドーン(ジョージ・C・スコット)。
彼は家具工場を真面目に経営しながら、昨今の金と性に流される時代の風潮を忌み嫌う男でもあった。自分の宗派こそが絶対正義で、教えに反する行為や考えは悪だと信じているからだ。
そんな彼の娘で奥手のクリスティン(イラー・ディヴィス)がカリフォルニアで開催される宗派の若者大会に参加するので、嬉しそうに送りだした。娘としては初めての大都会である。
数日後、ヴァンドーンの元に引率の教師から連絡が入る。
娘さんが行方不明になったと・・・
厳格な父親が娘を探すロード・ムーヴィー的重苦しいドラマ。
突如、旅先で消えた娘。気弱で奥手の子なので誘拐されたのではと直感する主人公。
ところが謹厳実直で不器用だが真っ直ぐな宗教感を持ち、それを信じて疑わないタイプであると冒頭から見せてくるので、恐らく違う方向に展開していくのだろうと推察させる。
LAまで行き警察に捜査依頼をするが期待はできないと告げられる。
当然主人公は怒り心頭だが担当刑事は、その道に長けた私立探偵を雇えと勧めてくれた。
地元とのあまりの違いに驚愕し閉口する連続。そして探偵を雇うが決して安くはない。すぐにでも結果が出るだろうと告げられ、事実数週間で連絡が入る。
そこで娘が8ミリのブルー・フィルムに出演している事実を見せられ激しく動揺してしまう。
だが、以降中々有益な情報を貰えず激高し解雇。そして自身が旅支度をして単身捜索に乗りだす。
その過程で西海岸に於ける大都市の風俗街や、そこに生きる怪しげな人間が次々と登場してくる。
主人公は一本気で自分の正義を疑わないタイプゆえ必死さが伝わり、初体験ばかりの様々な事象を勝手に解釈し猛進的行動を取っていく。
実に嫌な予感しかない展開が待ち受けていそうだ。彼の性格と価値観を際立させつつ行動を取る細かい過程が順を追って描かれていく。やがて主人公の心にも違う気持ちが芽生えてくる。
何とも重く、娘は父親から離れたくての家出ではないのかと観客に想定させてくるが実際はどうなのか。
何といってもアカデミー主演男優賞を受賞したジョージ・C・スコットの演技に釘付けになる。徐々に顔付きが変わっていきながら、生真面目さが残る表情。
そして脇で主役を喰うほどの存在感を放つのは探偵役のピーター・ボイルだ。彼は裏社会に精通し、様々な人間を見てきているので、色々と特定しやすい。決して格好良さのない現実的な探偵象。
この二人の存在感だけで映画を引っ張っている。
田舎と都会。真面目さと裏社会でしか生きられない人間たちの対比も分かりやすい。
ただ、あまりにも重いのに至極真っ当な筋運びなので、妙な胸焼けが後を追ってきて継続する。
中年男の心の葛藤がいかにものロード・ムーヴィー的で「アメリカン・ニュー・シネマ」の系統にも感じるが、それにしても重い。
なので力作であるのだが、好き嫌いはハッキリと分かれるだろう。


