余談雑談 2026年3月28日

久々に新発売の商品に興奮した。

大好きな作品で、ここでもかなりの初期に扱ったクロード・ルルーシェの「男と女の詩」(1973)。

遥か昔、ビデオでの発売があるが、それ以降は国内では発売に関しては音沙汰なしで、BS放送があったぐらい。アメリカではDVDの英語字幕入りが発売され購入。当然、チンプンカンプンで持っていればそれだけで幸せというコレクター魂のみを刺激されたっけ。

この映画との出会いは、映画館があちらこちらにあり、更に名画座と呼ばれた劇場も多くあったころ。

一度目の鑑賞でハマってしまい、以後東京中の名画座での上映があると当然何度も足を運び、結果、劇場でどれ程の回数を鑑賞しただろうか。それぐらい好きな作品である。

特に池袋の隣にあった大塚名画座では、館主のセンスが光り、ルルーシェの代表作「男と女」(1866)との二本立てであった。この併映チョイスのセンスにはシビれた。

何せ「男と女の詩」では、冒頭にいきなり「男と女」のラストシーンが流れるのだ。実は刑務所内の娯楽の一環の上映会で、そこに収監中の主演リノ・ヴァンチュラが苦虫を噛み潰した顔で見ている場面に変わる。

何というエスプリかと感じ入ったのは映画好きとしては当然で、支配人のセンスに直接謝辞を述べたら、にこやかに自分で絶対にこの二本立で上映したかったんですと対応して頂いたのも良い思い出である。

こういう映画館での体験がその後のファン度、というかシネマディクトを育成していくとも痛感した次第。映画好きは伝播していくのだ。

それが30年以上も経って、いきなりブルーレイ盤で発売される。

即座に予約ボタンを押そうと思ったが、そこは寄る年波というか、それなりの経験値が鎌首をもたげた。

デジタル・リマスター版で画面は綺麗なのは有難いが本作は2ヴァージョン存在しているのだ。そのどちらが収録されているのかという疑心暗鬼。

それによってかなり印象が違うからだ。映画館で上映されたものと、ビデオとBS放送されたものとはラスト数分が違う。それだけで全く余韻が異なるほどの違いだから。

しかも劇場公開版での字幕はウィットに富み、これぞ映画翻訳の極致というキザさが印象的。しかし、ビデオとBS版は翻訳家が変わり、当たり障りのない無難な字幕で魅力半減だった。

今回は、更に新たな字幕なら、もっと嫌な予感もする。

確かに字幕には文字数制限があり行間を読むとか、瞬時にそれなりの文字数を見て理解する観る側の努力なり感性なりが要求された時代とは全く異なるのが現在。

ある意味、「速読力」が低下し小さな画面での鑑賞が前提なので、そもそも一度にでる文字数が昔よりも減った。

それに昔は敢えて『意訳』と呼ばれ、日本語としてはおかしかったり、全く違う意味だったり。

しかし、その方がこちらの感性を強く刺激してくれたのも事実。それを意識して多くの著書を残してくれたのが和田誠である。

それに英語のテストに字幕訳を書いてバツを貰ったとかという、全く頷ける投稿を多く見たっけ。

それらもあっての新発売である。さて、どうしたものか。ブルーレイなので安くはない。

それなら未鑑賞のDVDを中古で買って、ここで紹介作を増やすという手もある。事実、新たに蒐集したポスターもあり、思案中な作品が数作もあるし。

暫く振りに映画に関して真剣に悩む事案が出てきて、半世紀近く前の熱かった時代の映画オタク魂を刺激してくる。

さてさて、だな。まあ、夜に飲みに出掛けるのを一度諦めて、代わりにランチ時の小ビールで済ませば良いだけかも、とも思いはするけど。

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