白昼の強奪 – PAYROLL(1961年)

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スタッフ
監督:シドニー・ヘイヤーズ
製作:ノーマン・プリッゲン
脚本:ジョージ・バクスト
撮影:アーネスト・スチュワート
音楽:レッグ・オーウェン

キャスト
メローズ / マイケル・クレイグ
ケイティ / フランソワーズ・プレヴォー
ジャッキー / ビリー・ホワイトロー
ピアソン / ウィリアム・ルーカス
ブラッキー / トム・ベル
モンティ / ケネス・グリフィス
ブラッデン刑事 / エドワード・キャスト
ラングリッジ / バリー・キーガン
ムーア / グリン・ハウストン

日本公開: 1961年
製作国: イギリス アングロ・アマルガメイテッド作品
配給: RKO


あらすじとコメント

イギリス製の地味系犯罪スリラー映画で繋げる。前回の「喰いついたら放すな」(1960)同様、『車両』が事件の重要な発端となる作品を選んでみた。

イギリス、北東部タイン巨大工業都市の中に社員の給料が毎週10万ポンドを超える大企業があった。流石にこれだけの大金が毎週動くのは不安であり、社は新型の現金輸送車を開発した。

しかし、それでも現金を狙う犯罪者グループがいた。首謀者メロース(ダニエル・クレイグ)ら四人である。彼らは会社の経理担当者を巻き込み、車両の設計図を手に入れた。それを基に綿密な計画が立案され実行に移される。

襲撃計画は上手く行ったかに見えたが、思わぬ反撃を喰らい、大金は手に入れたものの仲間の一人が死亡してしまう。一方で、その現金輸送車の運転手は即死し、同乗していた開発者も重傷を負った。

その運転手の妻ジャッキー(ビリー・ホワイトロー)は警察から亭主の訃報を聞かされ・・・

両極端な人妻二人と犯罪者グループを描くスリラー作。

大金奪取に成功する犯罪グループ。主犯の主人公は中々の二枚目だ。成功後しばらくは金に手を付けるなと厳命するが、そうなれば当然仲間割れも起きるというもの。

しかも巻き込まれ型の会社の経理係は素人であり、死者もでた犯罪に加担したことに自責の念を持っている。

その経理マンの妻がクセモノで、亭主が犯罪の片棒を担いだと知り、且つ小心者の亭主に嫌気が差して主犯と肉体関係を持ったりするから始末に悪い。確かにこの手の人妻は犯罪映画ではよく登場するタイプではあるが。

しかし、本作で一番強烈なのは襲撃事故で死んだ運転手の妻である。

いつの間にか復讐の鬼と化し、警察以上に経理マンの妻や会社関係者に取り入って、真実を探りだそうとする。そしてその行為がエスカレートしていく恐怖。清貧な妻が変貌していく様は、いかにもの犯罪映画の態である。

つまり、考えようによっては人妻二人がイメージの違う悪女、ファム・ファタールと化していく。

この設定には些か妙味を感じた。多くの犯罪映画はどちらかのタイプしか登場しない。もしくは対比させるために一方はか弱くていたいけなタイプだろうか。しかしその二人がストーリィの主導権を握っていく。

その点で本作は途中からの変貌振りが二者二様で違うので、観る側からすれば怖さが違うと思わせる。

それでもどうにもB級感が漂うのは以前の様々な犯罪映画のおいしいところを取り入れ、その集大成的辻褄合わせに仕上げようとした点だろう。

しかし個人的には嫌いではない作風。白黒の陰影を誇張する凝った撮影技法や直接的に盛り上げる派手な音楽。B級専門だが、当時あちこちの犯罪映画で見た顔振れが並ぶ。

極端な目新しさはないが、それなりのバランスと突破力で走る作劇。

イギリスの地方工業都市のうすら寒さを感じさせ、犯罪はやはり割に合わないと教えてくれる極北感。

佳作秀作の類ではないが、映画が娯楽の柱として何かと力を持っていた時代があったと感じさせる犯罪映画。

余談雑談 2022年2月19日
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