スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ
撮影:ロバート・パークス
音楽:フランツ・ワックスマン
キャスト
ジェフリーズ / ジェームス・スチュワート
リサ / グレース・ケリー
ドイル / ウェンデル・コーリィ
ステラ / セルマ・リッター
ソーウォルド / レイモンド・バー
ミス・ロンリーハート / ジュディス・イヴリン
作曲家 / ロス・バグダサリアン
エンマ / イレーネ・ウィンストン
ミス・ビキニ / ジョージン・ダーシィ
日本公開: 1955年
製作国: アメリカ パラマウント作品
配給: パラマウント
あらすじとコメント
グレース・ケリーで繋げる。女優からモナコ王妃になるので、さほど多くない出演作ではある。その中でも外せない監督アルフレッド・ヒッチコック。これはかなりの有名作で、ご覧になった人も多いだろうか。ヒッチ御大の異常性が際立つ傑作。
アメリカ、ニュー・ヨーク人気カメラマンのジェフリーズ(ジェームス・スチュワート)は、取材中に事故に巻き込まれ左脚骨折の重傷を負った。
6週間が経過したものの、部屋からでることも出来ず、裏窓から見える近隣アパートの住人たちを望遠レンズを使って覗くのが、唯一の暇つぶしであった。恋人のリザ(グレース・ケリー)や家政婦のステラ(セルマ・リッター)には閉口されつつ、それしか娯楽がないとうそぶく始末。
そんな彼は、ある日、向かいのアパートの夫婦の様子がおかしいことに気付く。セールスマンのソーウォルド(レイモンド・バー)の寝たきりの妻の姿が見えなくなったのだ。ちょくちょく口論をしていたが、まさか、と思うジェフリーズ。
そして、ソーウォルドが大きなトランクを運びだして・・・
覗きから殺人事件を疑ったカメラマンの騒動を描く傑作。
身動きの取れない主人公が共同裏庭を挟んだアパートの一室での殺人を疑う。
当然、彼は動けないので美人の恋人や家政婦らの協力を得て、真実を探ろうとするサスペンス・スリラー。
筋書きは単純であり、果たして余計なことをするから、主人公らが更に恐ろしい方向に放り込まれるサスペンス進行。
いかにもセットと分かる、まるで『箱庭』的形状の中庭を舐めるように描きだす冒頭場面から引き込まれる。
しかも、画面をリードするのは猫と鳩の小動物。そして各部屋の人間たちの生活模様を一気に描き、汗をかいてうたた寝している主人公へパン移動。そして主人公の仕事ぶりと骨折の原因と思しきカーレースのクラッシュ写真とものの数分で全体像を描きだす。
流石のヒッチコックだと感じ入った。そして、グレース・ケリー登場のシーンは鳥肌モノ。
彼女の美人さにセクシーさを加味させ、これでもかと見せつける。映画館の大画面を見ると、作品に一気に引き込まれるだろうと感じる。
そしてヒッチコックお得意の巻き込まれ型スリラーだが、本作は主人公ではなく、恋人であるグレース・ケリーこそ真の被害者として描いていく。
この流れは、ヒッチコックがどれほどケリーに入れ込んでいたかと背筋が凍る。
何ともさり気ない感じなのだが、ケリーのシーンは絶妙に「エロティックさ」を醸し続ける。あくまで主役で常連のスチュワートよりも完全に重きを置いている作劇。
複雑なストーリィ展開など、大して影響させなくても娯楽映画として、立派に作れると胸を張るヒッチコックのイヤらしいトボた顔が目に浮かぶ作品。