旅に出た。やっとだ、本当にやっと。
越境できぬ鬱憤が溜まっていたし、とっくに二度の接種も完了している。上の人は第6波が必ず来襲と仰るが、気を付けて行動しますから、というか、そんなこと知るか、が本音だ。
ならば三泊四日で、未訪問地と心落ち着く日光国立公園内にある鄙びの定番温泉でどうだ。それなら同じ沿線上で繋がるし、あちらも紅葉の時期には少し早いだろうから、混雑もしてないだろう。
先ずは初めての会津若松方面。一泊目は、市内で飲食をメイン。安いビジネスホテルで茶を濁して、二泊目は、行ってみたかった高級温泉旅館でメリハリ付けるか。
若松市内を走る循環ミニバスで到着後のランチと飲み屋、翌日のランチ店探しだな。
確認すると、名物郷土料理は二泊目の旅館でほぼ食べられそうだ。ならばランチは「そば」で、夜は地元居酒屋。となるとこちらを何時に出発か。
そこからして楽しい。車中で楽しむ駅弁もたまには良いが、やはり冷たい弁当よりも、当地のそば屋で燗酒と一緒に、だな。
逆算すると朝7時半発の特急。ハイハイ、こういう時のための早寝早起き人生さ。
乗り継いで4時間半の列車旅。缶ビールに音楽と本は必須だな。思い巡らせて当日。
流石の自分である。出発日と二日目は、東京も会津も本降りの雨マーク。気温だって、東京よりは低いが、それまでが異常に暖かく、風速でも違うので、体感はどの程度か想像が付かぬ。
まあ、何とかなるさで、始発駅から特急に乗車。平日早朝でもあり、指定席のある車両は貸切での発車。途中から若干は乗車してきたが、それだって静かだ。こういうところでもマスクをし、会話は控え目で、流石だね皆さん。
「鬼怒川温泉駅」で乗換えのため下車。いつもこの先、途中下車するので、終点までは初めての旅だ。雨の降る中、入線してきたのは二両編成の「マウントエクスプレス」という少し豪華な仕様。
何と二両とも乗客は居らず貸切。ならば臆することなく、運転席横の窓から前方を見ようっと。こんなことは子供時代以来だ。
トンネルの多い路線だが、雨に煙る田舎風景の先に単線レールが続いている。
車とは違うワイパーの速度と列車の揺れが微妙にシンクロせずで何だか面白い。缶ビール片手に、誰もいない車両で空気感も違う旅の風情。
しかも、この路線は三つの鉄道会社での運行で、途中で制服の違う乗務員に総取っ換えになった。これも最前列だから、一寸した交代儀礼が丸見えで何だか新鮮。
昼過ぎに会津若松に到着。雨模様だが、思いの外寒くない。車中で決めた蕎麦屋へ循環バスで直行。ところが、このバスが混んでいて驚いた。やはり宣言明けで、自分も含めて、一斉に旅に出た感じ。
そこそこ混んでいる店に入り、瓶ビールから地酒で蕎麦ランチ。小慣れた感じの味だけど、やはり観光客向けのイメージだった。
一泊目は駅前のビジネスホテル。旅館以外は暫く振りで、フロント横にティーバッグやカミソリが積んであり、客が取る合理的スタイル。
後は居酒屋探し。蕎麦屋の後、ほろ酔い気分の街歩きで、目星をつけていた居酒屋の前を通過。
その店では「馬刺し」をメインにし、郷土料理を少々、と思っていた。運良く軒先に品書きが出ていたが、「?」マークが付くメニューばかり。
世代変わりでもしたのか、有名店になり観光客も増えて、都会人も驚く新メニュー開発に勤しんだのか、到底、自分の口には合わないような品書きが並んでいた。なので、そこはパス。
逡巡しながら、福島名物の馬肉の焼肉があると思い出した。
長くなったので、来週へ続くということで。