朝な夕なに – IMMER WENN DER TAG BEGINNT(1957年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:ヴォルフガング・リーベンアイナー
原作:ゲオルグ・フルダレク
脚本:ウッツ・ウターマン、W・リーベンアイナー
撮影:ヴェルナー・クリーン
音楽:フランツ・グローテ

キャスト
ハンナ / ルート・ロイヴェリック
コルネリウス校長 / ハンス・ゼーンカー
ヴィーラント / クリスチャン・ヴォルフ
ローマン / ハンス・ライザー
ヴェヒター / フリードリッヒ・ドミン
クラインシュミット / ピーター・シュテルナーゲル
クレーメント / アレキサンダー・ギルド
リヒター / アフネス・ウィンデック
ヴァクター / ヨゼフ・オッフェンバッハ

日本公開: 1958年
製作国: 西ドイツ バヴァリア作品
配給: NCC


あらすじとコメント

今回も大学生たちの恋愛事情を描く作品。ただし、西ドイツ製で年上女教師と生徒の思慕に、当時ヒットしたモダン・ジャズ系ブルースが絡む青春映画。

ドイツ バヴァリア中高一貫教育を行う学校に若い女教師ハンナ(ルート・ロイヴェリック)が着任してきた。彼女の教育理念は成績至上主義ではなく、生徒との信頼関係を築きつつ、向上する人間性を大事にするものだった。だが、旧態依然とした教育局からは目を付けられ転任を続けていた。

校舎も真新しく、生徒は全校で1600人もいる新しい赴任先の校長コルネリウス(ハンス・ゼーンカー)は、そんな彼女に理解を示した。まったく新しい環境だが、自分の信念を貫こうと決めたハンナは、紹介された下宿先に向かった。

人の良さそうな女家主にホッとしたが、そこには最上級生で彼女が受け持つ生徒ヴィーランド(クリスチャン・ヴォルフ)も下宿していて・・・

進歩派の美人教師が巻き起こす騒動を描く青春ドラマ。

人間性を重視し信頼関係も大事な教育と確信している新任教師。

生徒にもそれぞれ状況があるし、冷徹に違反を罰するのではなく、将来を考えて生徒に寄り添う。

そんな姿勢が官僚的発想しかない教育委員会からは目の敵にされるのは当然。

ドイツの教育システムは、日本とは違い、小学校高学年から、中高一貫教育という長年、同じ場所で教育を受けるシステム。

その中で、ヒロインが担当を持つのは「最上級生」で、当然、思春期でもある男性のみのクラス。

そこに美人がやってくれば化学反応が起きるのも当然だし、ナメてかかったら、逆にやり込められてしまうから、今度は反抗的態度に変わる。

確かに、この手のある意味「熱血教師」が巻き起こす学園ドラマは数多く、世界中で製作されてきた。

本作が少し異質だと感じるのは西ドイツ映画であるという点だろうか。

少年たちも酷い非行少年ではなく、根は真面目だし、反抗的態度といっても暴力沙汰は起こさない。

何とも牧歌的というか、別な表現でいれば「生温い」。

お国柄を考えれば当然かもしれぬが、日本同様敗戦国であり、戦後13年しか経っていない時期。

アメリカの作品では、この手の映画で流れるのは「ロック」だが、本作は「ジャズ」。しかも緊張感漂うモダン・ジャズではなくブルース。その劇中起用の「真夜中のブルース」は日本では大ヒットした。

破天荒で無鉄砲な青年たちの衝動と欲望ではなく、どこか、あくまでも生真面目さが漂うのは国民性ゆえだろうか。

それでも放任主義で見栄っ張りの親がどのような影響を与えるかとか、母子家庭の辛さを描いている点は先見の明を感じる。

戦後13年という経緯が人間たちに、どのような影響を与え、且つ戦災孤児だが、あまり戦争の悲惨さを知らない少年たちとの格差が浮かび上がる。

人間の成長というか、真面目な青春映画であり、主人公の女教師も、一個人として生きる困難さや、資本主義と共産主義的思想で、妙に『合わない』人間たちの対比をもそれとなく描いている点は好感が持てる。

どこか哀愁感漂うティストの青春映画。

余談雑談 2021年6月12日
相変わらずの外飲み難民継続中。そこに、更なる追い打ちがかかった。 4軒しかないランチ時にビールが飲める店。その一件に行ったら、何と販売停止の張り紙。 老齢夫婦で営む店だが、先立て、複数人で飲み始まって、マスクもせず、大騒ぎをしたとか。それで