スタア誕生 – A STAR IS BORN(1954年)

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スタッフ
監督:ジョージ・キューカー
製作:シドニー・ラフト
脚本:モス・ハート
撮影:サム・リーヴィット
音楽:ハロルド・アーレン

キャスト
エスター / ジュディ・ガーランド
メイン / ジェームス・メイソン
ナイルズ / チャールス・ピックフォード
リビー / ジャック・カーソン
マクガイア / トミー・ヌーナン
スーザン / アマンダ・ブレイク
グレーヴス / アーヴィング・ベーコン
ウィリアムス / ジェームス・ブラウン
ウォレス / リチャード・ウェッブ

日本公開: 1955年
製作国: アメリカ トランスコーナ・プロ作品
配給: ワーナー


あらすじとコメント

前回の「黄昏」(1951)は、立場の格差が逆転していく男女のドラマだった。今回も同じく、有名俳優と明日を夢見る若い女性の立場が逆転していく、激情型ロマンスを描く超特作。

アメリカ、ロサンジェルス映画人のための一大チャリティ・イべントが開催されていた。観衆の目当ては超人気俳優メイン(ジェームス・メイソン)の雄姿。しかし、当の彼はストレスから傍若無人になったアル中の男である。撮影所長は、彼を舞台に上げるなと厳命するが、周囲の誰もが彼を止められるはずもない。

挙句、楽団に所属する歌手エスター(ジュディ・ガーランド)の出番中に乱入してきてしまうが、彼女の機転で事なきを得た。

一目でエスターを気に入ったメインは、後日、彼女を探しだして・・・

アメリカン・ドリームの明暗を描く人間ドラマ。

小さな名声を夢見る若い歌手。一方、大スターでありながら典型的破滅型タイプの中年男性。

酔ってない状態で再会した俳優は、彼女の才能を一発で見抜く。楽団付きで巡業で生計を立てているヒロインはピアノ弾きと恋仲。

当然、引き抜きにかかり、撮影所の社長に合わせようとするが、そこから紆余曲折が始まっていく。

その後の内容はヒロインの出世と、人間的脆弱さゆえに周囲から完全孤立し、己の弱さに向き合っても、結局、弱さに沈んでいくしかない男の救いようのない人生を際立たせていく展開。

オリジナルは1937年にジャネット・ゲイナー主演で同じタイトルで作られた。

オリジナルは田舎出の女優志望という設定だが、本作はジュディ・ガーランド主演なのでミュージカル・スターとして輝いて行く設定に変更されている。

芸達者なガーランドなので、幾度もミュージカル場面が登場してくる。しかも長めのドラマ仕立てで。なので、本作は3時間近い大作である。

要は、健気な妻が自分を見いだしてくれた大スターを今や自分が彼以上に売れても見殺しにせず、献身的に世話を焼き通す内容。

なので本作以後、女流アーティスト主演で更に2度リメイクされる。バーブラ・ストライサンド主演で「スター誕生」(1976)、2018年にはレディー・ガガ主演で「アリー/スター誕生」として。

確かに、自分の得意なパフォーマンスを散りばめつつ、こんなにオイシイ役柄は滅多にないヒロイン像ではある。

一方の男役は大変で面倒な役どころ。しかし、オリジナルではフレデリック・マーチ、本作ではジェームス・メイソンという、派手さはないが相当の実力派俳優が演じているので、悲劇性を強調させていく様は流石。

確かに、いかにもの二枚目俳優だと、モデルは彼だろうと推察されて、興味が別方向に削がれるが、地味系な俳優という設定にしているのは好感が持てる。

祭り上げられてハシゴを外されるのは古今東西の鉄則である。要は実力以上に慢心し威張りくさると、結果、世間とマスメディアを敵に回して安泰な訳がない。

しかも、3時間近くも悲劇性で押してくる内容は、どこかハーフ・マラソンに参加したかのような疲労を伴う。

ただ、力作である。

余談雑談 2021年5月22日
梅雨の気配を感じつつ、東京は宣言の延長中。というか、更に再延長という噂まで聞こえるけど、どうなんですかね。 だって、緊張感なり切迫感の気配がどうにも薄いんだよな。バスや地下鉄に乗っても、乗客が減っている印象はまったくない。 ならば、不要不急