寒くなったり暖かくなったり。『三寒四温』てな生易しい変化でなく乱高下だ。
テレビを点ければ恐怖扇動報道のみ。後は、オリンピック中止をいつ正式発表するのかを推測するぐらい。
そうなれば最初から招致大反対だった自分は、そら見たことかと内心薄笑いを禁じ得ない嫌な性格。
なのでオリンピック中止を匂わす小出し情報を気に掛けるぐらいで情報番組は天気予報しか見ない。
それだって気象庁の他に、幾つかのソースが存在して、微妙に違う。まあ、以前よりも選択肢が増えたと歓迎すべきだろうな。
それに現在は、中途半端な緊急事態宣言で混乱してる人も全国でいるのだろう。20、30代の行動が今後のカギを握るとか、若者の所為というか、責任転嫁を感じるんだけどな。
絶不調の飲食店だって今回はかなりの協力金が出るので時間短縮に応じる店が多いのが現実。自分だって飲食営業してたら同調するよな。廃業するよりもマシだし。
そもそも眼前に人参をぶら下げられた馬は従うしかないし。やっぱり偉い人が考えることは解りやすいし、結果、皆従う。
でも、後々に都民なり、国民の全員が税金でツケを支払わせられるという人間も存在する。間違いなかろう、ですがね。
どの道、自分は青年層ではないが、完全に麻痺していて毎日ランチと称して、不要不急の外出を楽しんでいるから始末に悪いのも間違いない。
この前は目指したランチ屋が臨時休業で、更に遠くの「山谷」と呼ばれる旧ドヤ街まで散歩。
随分と改善され、目付きの怪しい輩は激減し、薄汚い格好の老人はいるが、一応マスク姿で微笑ましかった。
第二案で考えていた店を半年以上振りに覗いた。閉業してなくて良かったなと思いつつ暖簾をくぐった。
昼時なのに客は皆無。この手の店も影響を受けているのかと勘繰ってしまった。躊躇わず瓶ビールと、名物のカツカレーを注文した。いつのか解らない週刊誌をめくり、のどかな時間を過ごす。
気持ち良くなって外へ出たが、流石に寒風吹いて寒い。こういうときこそ100円の地域巡回バスだよな、と。
で、バス停に向かう途中に車向けの看板を発見した。「歩行者の寝そべりと飛び出しに注意」だと。
学校の横でもないから子供のことでもあるまいし、まして「寝そべり」とは一体何ぞやと気を取られるドライバーはいないのかとも思った。
でも、流石の山谷だ。以前はどこか無法地帯てな印象だったが、今では人種も変化したとも聞くし、歩いてみても腹の座って目付きの悪い男衆はいないぞ。
昔は、朝から安酒で泥酔し、路上で寝ている労務者も数多く見た。しかも汚い作業服じゃ、夜間は目立たないぜって、子供心に感じたものだ。
でも寝てる方には関係ないこと。というか、どこか死亡願望でもあったのか。
それに高級車が来ると不意に飛び出して、ちょこっとだけぶつかって派手に転倒して金をせびり取る『当たり屋』なんてのもいた場所柄。
その手が今でも現役でいるのだろうか。でもな、それだったらマスクして歩いてないよな。
間違いなく半年以上前よりも歩いている人間は減っていた。まさか、今の若僧以上に妙に改心して不要不急の外出を控えているんじゃないだろうな。
だとしたら、自分はどういうスタンスになるんだろうなと不安になった。
何だかバスが来る頃には酔いが醒めてたような昼下がり。