スタッフ
監督:マーク・サンドリッチ
製作:マーク・サンドリッチ
脚本:クロード・ビニヨン
撮影:デヴィッド・エイベル
音楽:アーヴィング・バーリン
キャスト
ハーディ / ビング・クロスビー
ハノーヴァー / フレッド・アステア
リンダ / マージョリー・レイノルズ
ライラ / ヴァージニア・デール
マミー / ルイーズ・ピーヴァース
リード / ウォルター・エイブル
ガス / アーヴィング・ベーコン
フランソワ / マレク・ウィンドハイム
ダンバー / ジェームス・ベル
日本公開: 1947年
製作国: アメリカ M・サンドリッチ・プロ作品
配給: セントラル
あらすじとコメント
今回もフレッド・アステア出演のミュージカル作品を紹介する。共演はビング・クロスビーで、中々、ゴキゲンな作品。
アメリカ、ニュー・ヨーククリスマス・イヴ。男女三人の芸人トリオがいた。歌の上手いハーディ(ビング・クロスビー)、踊りの達者なハノーヴァー(フレッド・アステア)、紅一点のライラ(ヴァージニア・デール)。
だが、浮き草稼業に疲れたハーディはコネティカットの田舎に一軒家を買い、農夫として暮らそうと思っていた。当然、恋仲のライラを連れて。
ところが、ここに来てやはり隠遁生活には早過ぎると感じた彼女はハーノヴァーの誘いに乗り、ハーディを棄てて乗り換えようと思っていた。
そんなこととは露知らず、最後のショウが始まったが・・・
引退した芸人と仲間たちが繰り広げる人情ドラマ的ミュージカル。
三角関係の果て、独り寂しく隠居した主人公。かといって別に他の二人と仲違いしたわけではない。
一年後、主人公は農場をホテルに改装し、週末だけ営業するスタイルに変更する。つまりは『HOLIDAY INN』。
しかし、何もない田舎である。なので客寄せのための娯楽として、かつての仲間を呼び寄せてショウを開催しようと考える。何ともお気楽な善人気質である。
この内容からオールド・ファンなら似ている設定の映画を連想するかもしれない。
「ホワイト・クリスマス」(1954)である。ただし、あちらではクロスビーの厳しいか心優しき上官が引退しホテルを営むが経営が傾き、応援に駆け付けるという設定になってはいる。
それでも、実は本作がオリジナルであり、実際にビング・クロスビーによって「ホワイトクリスマス」が披露されるのだ。
本作の楽曲はアーヴィング・バーリンで、軽快な曲が数多く登場してくる。それをクロスビーの心地良い歌声と、アステアの見事な踊りで紡がれていく寸法。
実に洒落ていてエレガント。確かに大人の都合で展開するので、ストーリィ的にはご都合主義全開。しかし、だから娯楽ミュージカル映画は、それで良いと感じさせるほど良質だとも感じた。
何といっても、紳士淑女がタキシード、ドレス姿で優雅に歌い踊るのは日本にはない大人の世界であり、やはり憧れる。
リズムやダンスも、今ほど激しくなく、『揺りかご』内の赤子のような気分にさせられる心地良さだと感じた。
古き良き健全な正調パラマウント映画として評価できる作品。