ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実 – LADY SINGS THE BLUES(1972年)

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スタッフ
監督:シドニー・J・フューリー
製作:ジェイ・ウェストン、J・S・ホワイト
脚本:テレンズ・マックロイ、C・クラーク、S・D・バッシー
撮影:ジョン・A・アロンゾ
音楽:ミシェル・ルグラン

キャスト
エレオノーラ / ダイアナ・ロス
ルイス / ビリー・ディー・ウィリアムス
ピアノ弾き / リチャード・プライヤー
ヘンリー / ジェームス・キャラハン
ジェリー / シド・メルトン
ハリー / ポール・ハンプトン
エレオノーラの母親 / ヴァージニア・ケイパース
イヴォンヌ / イヴォンヌ・フェアー
ビッグ・ベン / スキャットマン・クローザース

日本公開: 1973年
製作国: アメリカ フューリー・プロ作品
配給: CIC


あらすじとコメント

実在したジャズ人で続ける。女性ボーカリストで最も有名な一人で、何とも過酷で壮絶な人生を辿った生涯を描く作品。

アメリカ、ボルチモア15歳にも満たないエレオノーラ(ダイアナ・ロス)は、売春宿で下働きをしていた。唯一の楽しみはレコードから流れるジャズを仕事の傍ら聞くことだった。

しかし、酔客に強姦されたショックからニューヨークの母親の下へ逃げ帰った。だが、母親も売春婦である。結果、嫌々ながらも娼館に勤めるしか選択肢がなくなった。それでも、客から逃げることも多く娼館のマダムや娼婦たちからも身勝手な人間と蔑まれるようになる。

それが嫌で、飛びだした彼女は、逃げるように入ったジャズ酒場で・・・

過酷な幼少時代から時代の寵児となったジャズ歌手の一生を描く。

薬物とアルコール中毒で44歳で生涯を閉じた歌姫。完全に自滅型な人生を送ったが、かなり脚色されている内容でもある。

冒頭、薬物中毒の禁断症状で拘束衣を着せられ。想像を絶する態で収監されるヒロインの姿から始まる。

ジャズ・ファンの間では超有名な歌姫で、彼女の人生はそれなりに知っているファンが多い。

しかし、自己所業の果てにしても、冒頭からかなり衝撃的である。

以後、彼女がどのように成長し、歌姫になっていくかを追うサクセス・ストーリーでもあるのだが、情緒不安定ゆえの依存症に加速度がかかっていく展開。

世界恐慌下の激動の時代。虐げられた黒人たちの間でも、更に下層な売春でしか生きられない極貧な人間たち。

当然、知識もなく向上心もない。ただ、天性の才能で歌が上手い。そのことからのし上がっていくが、それでも、孤独や対人恐怖及び依存症で、薬物に溺れていく。

ミュージシャンとしては多い印象である。伝説の歌姫で当時から、かなり悲惨さを強調した伝説として伝聞されており、現在では別な実話もある。

ただ、彼女の歌唱は残っており、確かに、鳥肌が立つほど素晴らしく、且つ、引き込まれる情熱を感じる。

また、個人的嗜好としては、実際の彼女の歌は1945年以前と以後に別れると感じている。

本作でも描かれる薬物依存度の進行具合である。晩年は間違いなくボロボロで、「黒人ジャズ歌手」としては、初めてカーネギーホールでワンマンショーを開いたが、その時の歌は絶望的に下手である。

その場面が本作のクライマックスで登場してくる。彼女のことをどの程度知っているかで作品の評価も変わろうか。

実際に有名な歌姫ダイアナ・ロスが、ここまでやるかという鬼気迫る演技を見せるし、気の良いピアノ弾きやジゴロ的恋人など、実際のモデル探しをしつつ鑑賞するのも一興かもしれぬ。

何よりも実力派シンガーのロスがビリーに似せて歌うジャズも、聞きどころである。

やはり、歌手なり芸術家なり、天才型と呼ばれるタイプは破天荒で、ある意味、近付き難い人種だとも再確認させてくれる作品。

余談雑談 2020年10月24日
一挙に季節が進んだ。となれば衣替えである。 『もったいない』精神優先で捨てられず溜まる一方の衣料品。色褪せ、色落ちの経年劣化も何のその。 とはいっても、いよいよあきらめるかと考えてみる。TVでリサイクル品買取りの宣伝を見たりするが、薄汚い衣