ジャズ・ミー・ブルース – BIX: AN INTERPRETATION OF A LEGEND(1991年)

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スタッフ
監督:プピ・アヴァティ
製作:アントーニオ・アヴァティ
脚本:P&A・アヴァティ、リノ・パトルノ
撮影:パスクァーレ・ラキーニ
音楽:ボブ・ウィルバー

キャスト
バイダーベッグ / ブライアント・ウィークス
ヴェヌーティ / エミール・レヴィゼッティ
アガサ / ジュリア・イーウィング
バイダーベッグの兄 / マーク・コルヴァー
リーザ / サリー・クロス
カーマイケル / ラオマーノ・オルザーリ
バーダーベッグ氏 / レイ・エーデルスタイン
マーレイ / マシュー・バゼル
ラッセル / マイケル・T・ヘンダーソン

日本公開: 1992年
製作国: イタリア デュア・フィルム作品
配給: フジテレビ、ヘラルド・エース


あらすじとコメント

映画とジャズの融合作を続けてきた。なので、今回は実在したジャズ演奏者の波乱の人生を描いた作品にシフトにしてみる。認知度は低いが、クラシカル系ジャズ・ファンなら知っているプレーヤー。

アメリカ、ニュー・ヨーク1931年28歳で夭折した天才コルネット奏者バイダーベッグ(ブライアント・ウィークス)。彼の友人でジャズ奏者ヴェヌーティ(エミール・レヴィゼッティ)が遺族に頼まれ、彼と結婚予定だった女性を探すためにやって来た。

何とか探しだすが、彼女はバイダーベッグのことなど知らず、会ったこともないと言う。ヴェヌーティはそう答えることは先刻承知であった。それでも、遺族のためにと説得し、アイオワに連れていくヴェヌーティ。

そして彼は道中、バイダーベッグの話を彼女に語りだして・・・・

いかにもの破滅型アーティストを描くドラマ。

田舎ながら事業に成功した真面目な父親。母親、兄弟も皆真面目な家族たち。

しかし、主人公はどこか窮屈で、正面切っての反抗はできないものの、ストレスが溜まっていた。

結果、落第し父親から寄宿制の学校に転入させられる。そこでトランペットに似た楽器、コルネットに傾倒していく。

その後、才能が開花し有名プレーヤーとなっていくが、お決まりの酒に溺れての転落人生を辿っていく。

実在した芸術家やアーティストの実話作品は数多く作られたジャンル。

それこそ絵描き、スポーツ選手、クラシックの大音楽家、ジャズからロック、フォーク・シンガーに至るまで。

特に音楽系は酒や薬物に溺れ、自滅していく様を追うものも多い。

本作の主人公も同様だ。真面目ゆえに脆弱。楽譜も読めずに劣等感を抱いたりする。

しかし、天賦のアレンジ才能があり、時代の寵児的に扱われて、結果、益々病んでいく展開。

古いジャズが好きな自分としては、当時、良くぞビックス・バーダーベッグを材に取った映画を作ったと驚いた。

余程の古いジャズのファンではないと知らない存在だからだ。

面白いのは本作がアメリカでなくイタリア映画であるところ。アメリカだと決してヒーローではない存在だし、映画としては劇的に盛り上がる要素もなく不向きだと思われたのだろう。

しかし、激動の20年代を舞台に禁酒法下での「ジャズ」というアヴァンギャルドな演奏表現で頭角を現す。

しかも黒人霊歌からの派生で、黒人主流の音楽であったジャズ。そんな中、白人ジャズマンで最初に、アドリヴ奏法で有名になった人間。更に、端正な二枚目で短命。

それでも、やはりキャラクターとしては弱いと感じる。破天荒でもなく、憑依型でもない。

ただ、古いジャズが好きで、チャールストン・ダンスや軽快なダンス向け演奏に魅力を感じる人間には、とても勉強になる作品。

個人的に好きな幾多のジャズマンが、どのように主人公と関係し、いかにして、その後のジャズの流れを作っていったかを知る勉強になるから。

丁度時代が大きくうねる年代。そして地方と都会。自惚れと嫉妬に葛藤。

それらを取り巻く人間たち。アップテンポの楽曲の裏に沈む憂鬱。

成程、惚れて追求したくなるファンを生む音楽ジャンルだと感じる作品。

余談雑談 2020年10月17日
一寸だけ、嬉しい出来事が。先立ての晴れの日。午前中に実家近くで用事があり、ランチは、久々そっち方面でと思った。 とはいってもお気に入りの食堂は、足の骨折前のことだから、4月初めには休業してた。尤も、当時は都の休業要請協力と謳っていたのだが、