黄昏のチャイナタウン – THE TWO JAKES(1990年)

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スタッフ
監督:ジャック・ニコルソン
製作:R・エヴァンス、H・シュナイダー
脚本:ロバート・タウン
撮影:ビルモス・ジーグモンド
音楽:ヴァン・ダイク・パークス

キャスト
ギテス / ジャック・ニコルソン
バーマン / ハーヴェイ・カイテル
キティ / メグ・ティリー
リリアン / マデリーン・ストウ
ワインバーガー / イーライ・ワラック
ローリー / リチャード・ファーンズワース
ナイス / ルーベン・ブラディス
ニューティ / フレデリック・フォレスト
ウォルシュ / ジョー・マンテル

日本公開: 1991年
製作国: アメリカ 88プロダクション作品
配給: UIP


あらすじとコメント

前回扱った「チャイナタウン」(1974)の正式な続編。主演を演じたジャック・ニコルソン自らがメガホンを取り、感傷的な思い入れたっぷりに描いた作品。

アメリカ、ロサンジェルスヴェテラン私立探偵ギテス(ジャック・ニコルソン)は、建設会社社長のバーマン(ハーヴェイ・カイテル)から、妻の浮気調査の依頼を受けた。

早速依頼人の妻が男とモーテルに入る情報を得たギテスは隣室で盗聴を始めた。ところが、隣室にバーマンが乗り込んで来て、拳銃で相手の男を射殺する現場に居合わせてしまう。

警察に連行されて取り調べを受けるが、拳銃は浮気相手の所持品であり、しかも相手は会社の共同経営者だった。そして突発的な事件として不起訴処分になるバーマン。嫌な疑念を抱くギテス。

そして、射殺された男の妻が、事務所に乗り込んできて・・・

複雑な人間関係を絶望的な巡り合わせとして描くドラマ。

離婚証拠用の録音依頼から、結果、共同経営者を射殺。ところが浮気相手の夫人は、浮気も含めて射殺夫婦による共同正犯だと騒ぎだす内容。

いかにも探偵小説の流れを汲む展開だ。しかも、「チャイナタウン」(1974)同様、原作はなく、映画用に作られたキャラクターで、本作の内容もオリジナル。

制作は16年後であるが、設定は10年後。そして完全続編であるので、前作を観ていないと内容には付いて行けない部分も多い。

主演のニコルソンを筆頭に、前作と同じキャラクターを同じ俳優が演じていて、過去との関連性を強調させる筋運びでもあるからだ。

要は主人公の探偵がトラウマから逃れられないまま、人生を引き摺っている。それほど、前作は主人公の設定に強烈なインパクトを与えている証左という筋運び。

時代背景は第二次大戦が終わり、朝鮮戦争が勃発する狭間。なのだが、戦争の影は一切感じさせず、逆に不安を煽るのに登場してくるのは、地震、ガス、石油である。

そして原題の「2人のジェイク」とは探偵と射殺犯の名前が同じであることを意味するが、当然、別な意味も存在する。中々、意味深いタイトルでもある。

本作は、前作のロマン・ポランスキー監督のアメリカ脱出後の作品でもある。監督の幼児性愛が発覚し、逮捕を逃れるためにアメリカを出国し、以後、二度と戻っていない監督。

その発覚発端となったのは、ニコルソン宅での13歳の少女モデルとの出来事と言われている。

そして、直接の関係性はないにしてもニコルソンが監督も兼ねているのも、実に興味深い。

ニコルソン自身に於いても、自身が演じてきた演じた数々のキャラクターの中でも大事にしたいタイプだったのだろうか。

もしくは、ポランスキーと何か、シンパシーを感じていたのかとも勘ぐりたくなる内容でもある。

また、前作は1970年代に多く制作されたノスタルジー映画作品群の一作であった。

そして本作で描かれたのは、1930年代から50年代へと20年前後、シフトした時代が背景。そして、当時、まさに1950年代が盛んに描かれたノスタルジー映画第二期ブームでもあった。

これも、時代とともに映画を追いかけていたファンからすると、まるでタイムマシンに乗ったような気分になった。

特に、本作は正式な続編であり、出演者も同じ顔ぶれで、こちらもキャスト同様に歳を重ねたんだなと実感し、更に、登場人物同様に歳は喰ったが、主役の探偵のように人間的成長は如何だったかとも思わせる罪深い作品でもある。

余談雑談 2020年7月18日
武漢肺炎め。先立て、古い付合いの奴が営むローマ風のピッツァを食べさせる店に、一年以上振りに行ってみた。 東京でも「超」が付く一等地に構え、地元住民にも愛される店に育っていた。当然、無粋な自分は似合わぬ店であるが、何せ、40年近い付き合いだ。