ジュリア – JULIA(1977年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:フレッド・ジンネマン
製作:リチャード・ロス
脚本:アルヴィン・サージェント
撮影:ダグラス・スローカム
音楽:ジョルジュ・ドルリュー

キャスト
リリアン / ジェーン・フォンダ
ジュリア / ヴァネッサ・レッドグレーヴ
ハメット / ジェーソン・ロバーズ
ヨハン / マクシミリアン・シェル
アラン / ハル・ホルブルック
アン・マリー / メリル・ストリープ
ドティ / ローズマリー・マーフィー
中年女性の乗客 / ドラ・ドール
若い女性の乗客 / エリザベス・モーテンセン

日本公開: 1978年
製作国: アメリカ リチャード・ロス・プロ作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

前回の「クワイヤボーイズ」(1977)は男たちの友情と軋轢的ドラマだった。それと同年に製作され、日本公開も同じ年だが、真逆の女性の友情と葛藤を描いた作品にする。事実を背景にした力作。

アメリカ、ニューイングランド有名劇作家のリリアン(ジェーン・フォンダ)は、湖でボートに乗り昔を思い出す日々。

決して忘れられないのは、幼い頃からの盟友ジュリア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)のこと。彼女は大金持ちの家系に生まれながら、子供の頃から貧乏で困っている人々にばかり目が行く娘だった。だが、祖父たちは貧民らのことなど眼中にない。その立ち位置に絶望し、以後、金持ちを嫌うようになっていた。

そして、オクスフォード大学に進学し、更にヒトラーが台頭してきたヨーロッパに渡り、労働者の立場向上に尽力をしだした。一方のリリアンはハードボイルド作家として有名な恋人ハメット(ジェーソン・ロバーツ)と過ごしながら、遅々として進まない新作戯曲を書いていた。それでも、やっと書き上げた「子供の時間」は大ヒットし、一躍有名人の仲間入りを果たす。

その頃、ジュリアは反体制運動の急先鋒として当局に目を付けられ行方不明になった。いても立ってもいられなくなったリリアンは、ヨーロッパに渡るが・・・

ドラマティックな運命を生きた友人を偲ぶ人間ドラマの力作。

著名な女流作家と上流階級出身ながら、虐げられている人々に傾倒して行く友人。

第二次大戦前夜という背景。アメリカ国内では、まだ対岸の火事的な状態でしかない。

そんな中、ヒロインが敢えて火中の栗を拾いに行った親友が辿っている人生を後追いしていく姿を回想形式で、過去と現在を行きつ戻りつしながら進行して行く。

当然、その影響力は大きい。事実、主人公であるリリアン・ヘルマンはアメリカ国内では「共産主義者」のレッテルを恋人のダシール・ハメット同様に貼られ、赤狩りの対象者にもなった。

成程、親友が辿っていった人生を追体験すれば、影響は受けるだろうと推察させるし、代表作である「子供の時間」では、女性同士の同性愛を匂わせる設定でもあり、現実社会でも、主人公と親友は、その手の関係性だと周囲の人間が信じていたという描写もでてくる。

女性活動家と戯曲家。どこか対照的な性格を際立たせながら、相互依存的友情。しかも命懸けの。

時代背景が見事に浮かぶ展開で、フレッド・ジンネマン演出は実に手堅い。

ヒロインを演じるジェーン・フォンダ、友人役のヴァネッサ・レッドグレーヴの巧みさ。そして、本当にそっくりで鳥肌が立つほど格好良いダシール・ハメット役のジェーソン・ロバーズ。

登場時間こそ少ないが、マクシミリアン・シェルやら、細かい脇役まで、実に当時の時代背景と、民族性を浮かび上がらせて見事。

娯楽作というよりも、時代性を反映させた骨太人間ドラマとして良く出来ている。

余談雑談 2020年3月21日
パンデミックが続いている。このままでは間違いなく五輪は延期だろう。 ただ、いつ発表するのか。損害を最小限に動いているのだろうが、どうにも胡散臭さを感じるのはヘソ曲がりゆえか。 また、報道ではイタリア国内の死者数が、中国を上回ったと言っている