華麗なる大泥棒 – LE CASSE(1971年)

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スタッフ
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
製作:アンリ・ヴェルヌイユ
脚本:H・ヴェルヌイユ、ヴァエ・カッチャ
撮影:クロード・ルノワール
音楽:エンニオ・モリコーネ

キャスト
アサド / ジャン・ポール・ベルモンド
ザカリア / オマー・シャリフ
ラルフ / ロベール・オッセン
レナ / ダイアン・キャノン
エレーヌ / ニコール・カルファン
レンジ─ / レナート・サルヴァトーリ
守衛 / ラオール・デルフォス
タスコ / ホセ・ルイス・デ・ヴィラロンガ
マロッシュ / スティーヴ・エッカー

日本公開: 1971年
製作国: フランス H・ヴェルヌイユ・プロ作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

今回も「泥棒」系作品にする。コメディやサスペンス、物語のこだわった展開よりも、主演者ベルモンドの体を張ったアクションが楽しめる娯楽作。

ギリシャ、ピレウスアサド(ジャン・ポール・ベルモンド)が空港に降り立った。彼は黙って出迎口に停まっていた車に乗り込んだ。中にはラルフ(ロベール・オッセン)、若く美しいエレーヌ(ニコール・カルファン)に、もう一人が乗っていた。

彼らは、静かに車を走らせると夜半、とある豪邸の前に停車した。そしてアサドとラルフが、中にいた警備員を縛り上げ、鉄壁の金庫の前に立った。アサドが持参していたケースを開けると中には最新式の装置がセットされたいた。力付くで開けるのではなく、何と金庫の製造番号から様々な情報を盗みだし合鍵を作るという装置であった。ただし、多少の時間は必要。

そんな折、豪邸前に駐車している車を不審車両と感じた地元警察のザカリア刑事(オマー・シャリフ)が近付いてきて・・・

宝石強盗団と刑事の駆け引きを描くアクション作。

最新式装置で金庫を開け100万ドル相当のエメラルドだけを盗みだす強盗団。一緒に保管してある札束には目もくれない。新券の札束は番号が控えられていると冷静に告げるリーダー。

当然、盗まれた側は警察に依頼。しかし、この担当刑事というのがかなりの悪党で強盗から奪い総取りしようとするから始末に悪いという展開である。

リーダーと仲間の若い女性は何やら訳アリの態。途中からセクシーなショーガールが絡んで来て、お色気満開の展開も待ち受ける。

ただし、悪徳刑事がいとも簡単に単独行動で人を殺したりして、警察サイドは一体何をやっているのだというツッコミどころも満載。

強盗団の主犯は飄々としながらも頭脳明晰、身体も敏捷というタイプ。

そして黒づくめのスーツでクールな印象の相棒、それに美女を含めた、計4人の仲間。一方の刑事はソフト帽を被り、トレンチコート・スタイル。

TVアニメの「ルパン三世」の世界そのものである。このアニメは、本作にかなりの影響を受けていると感じた。

ストーリィの整合性よりもアクション優先。カーチェイスから、ベルモンド本人の体を張った危険なアクションで紡いでいく進行。

「ルパン三世」そのものも、ベルモンドをモデルにしたと公言されているし、アニメ版の吹き替えも、ベルモンド同様、山田康雄だ。

尤も、ベルモンド自身もかねてよりアクションが得意で、客の鳥肌が立つほどの危険な演技を披露して来たので、アニメもその影響だろうが。

それでも、やはりアニメを知っていると、どうしても本作はルパン三世の最高の実写版という印象を持ってしまう。

確かに、ベルモンドも中年で往年の体のキレはないが、それが逆にハラハラ感を強調させるから面白い。

どちらかというと軽いギャグは登場するものの、全体的にはコメディというイメージはなく長めのカーチェイスや、ご当地料理ネタも散りばめ、どこか観光名所紹介を兼ねた娯楽犯罪アクションとして仕上がっている。

肩肘張らずに楽しむ作品としては上出来かもしれぬ。

余談雑談 2019年11月30日
煙草屋を廃業して5ヶ月。週に一、二度は独居の母のご機嫌伺いを兼ね、昼食を食べに行く。 周囲からは急にヒマになると危ないと脅されていたが、今のところ、急激にボケが始まるでもなくの状態。 80も半ばになるのだが、人生100歳時代もうわさではない