オール・ザット・ジャズ – ALL THAT JAZZ(1979年)

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スタッフ
監督:ボブ・フォッシー
製作:ロバート・アラン・アーサー
脚本:R・A・アーサー、ボブ・フォッシー
撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ラルフ・バーンズ

キャスト
ギデオン / ロイ・シャイダー
アンジェリーク / ジェシカ・ラング
ケイト / アン・ラインキング
フラッド / ベン・ヴェリーン
ミッシェル / エリザベート・フォルディ
オードリー / リーランド・パルマー
ニューマン / クリフ・ゴーマン
ダン / アンソニー・ホランド
べリンジャー医師 / マイケル・トーラン

日本公開: 1980年
製作国: アメリカ 20世紀フォックス&コロンビア作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

ロイ・シャイダーという俳優。アクション系が多く、都会派ニューヨーカーというイメージが強い。中盤以降は、それにB級というイメージが重なる。そんな彼の違う一面が垣間見られる異色ミュージカル作品。

アメリカ、ニュー・ヨークブロードウェイの新作ミュージカルのオーデションが行われていた。参加者は一流ダンサーばかりであり、選考するのは映画作品まで手掛ける演出家ギデオン(ロイ・シャイダー)だ。

そんな新作の主演女優は元妻のオードリー(リランド・パーマー)であり、現在同棲中のケイト(アン・ラインキング)も出演する。しかし、そんなことを気にする彼ではない。何故なら、異常なほどの女好きであり、今でも、簡単に他の女性にも手をだす男だからだ。

そんな彼は遅れに遅れている映画の編集にも時間を割かなければならない。すべて、最高の作品にしようという気迫からだ。

毎日、何かしら彼の癪にさわることが起き、周囲の人間らは巻き込まれながらも何とか彼に付いて行こうとしていたが・・・

ショウビズに命を賭ける男の執念を描くミュージカル。

十代の頃から舞台に立ち、ずっとショー・ビジネスの世界で生きてきた男。

初心な頃の衝撃的な体験から女性好きになり、有名になりたいと願うタマゴたちからは肉体攻勢を受けるし、当然の如くベッドを共にしてきた。先妻も一人娘もそれは先刻承知で、治らない病と捉えている。

しかし、ヴェテランゆえの実績から要求されることも多いし、自分自身が期待以上に自分を追い詰め、それを実現しようとする。

そのため、毎朝、ヴィヴァルディの曲を流しシャワーを浴びて、精神高揚剤を飲む。それがルーティーンであり、気合を入れるために「イッツ・ショータイム」と口にする。

そして、タバコをひと時も手放さないまま、自分自身を追い込んでいく。まさしく、この舞台が自分の集大成であるかのように。

それがどんな結果を生んでいくかと観る側は心配になる。

間違いなく精神を病んでいると感じさせるし、だからこそのアーティストなのだろうと、嫌でも諦めて観ていくしかない。

そんな主人公の破天荒な性格ゆえに、ショーの出資者たちや、彼の後釜を淡々と狙う演出家など、作家性だけで最高作にしようと願う側と、あくまでアメリカらしい投資と商売としてしか考えない出資者や弁護士たち。

そういった人間たちが群がって作るのがブロードウェイ劇であり、金払う客は、出来上がった完成品でしか評価しない。

要は、見えない裏側を「エグく」、「エモーショナル」に描く作品。

そんな内容を自身がダンサーであり、当時から高名な振付師兼監督であったボブ・フォッシーが、映画ならではの場面構成と編集で、新しいタイプのミュージカルとして作っていく。

しかも、ミュージカル場面も小出しにしたり、敢えて通し稽古らしくセットの中で踊らせないという手法や、「くすぐり」の映像的演出でメリハリを付けてくる。

特にそれまでの映画では表現してこなかったラストの「二人の主人公」が登場するシーンは、人生の正しく『走馬灯』として描かれて興味深い。

様々な「設定」と「描写」で攻めてくる、決して大作ではないが、病的さも感じさせながらも飽きさせない佳作。

余談雑談 2019年10月5日
10月に入っても真夏日の東京。それでも、徐々に秋に向っているなとも感じる。 となると毎回のことだが、季節の変わり目は同じで、旅心が鎌首をもたげるのだ。だが、逡巡はするものの、行くのは沖縄か、熊鍋&温泉。 今年こそは別な場所と思うのだが、そこ