新元号が始まった。これで三元号生きたことになる。
もう10年も経つと「昭和」生まれの人間は、自分らの子供時代の「明治」生まれてな印象を持たれるんだろうな。寄る年波を感じる。
さてさて、「令和」はどんな時代になるのだろうかと思っていたら、いきなりカウンター・パンチを喰らった。
遂に、実家のタバコ屋を閉店することになったのだ。時代の趨勢で喫煙者は益々、肩身の狭い状況が続いている。
事実、ウチのお得意さんも高齢や病気で喫煙を止めたり、嗜好品に金を使えなくなった人たちが多く、かといって若者たちの喫煙率も増加しない。
売り上げも全盛期の9割減だ。老母は、もう「待ち」の商売などしたくないと常々言っていた。まだ動けるうちに、少しでも出掛けたい気持ちもあるのだろう。
それでも、自分のスタンスを考えたら、赤字でも家賃もないしヒマ潰しとして、一応の自営業者でいたかった。
タバコの仕入れは、元々の『専売公社』から民間になった「日本たばこ」と完全外資の「外国たばこ」の二社である。
既に、メジャー系の外資は数年前から「紙巻きたばこ」の新製品開発を止め、返品返金率もかなり厳しくなっていた。
規模も縮小一方で、営業マンは一年に一度顔を出すかどうか。値上げや箱のデザイン変更等の告知も、いきなり封書で届く。
それでも素知らぬ振りで営んでいたが、突然、外資から電話が来て、貸出中の自販機を来月で撤収すると。
無料貸し出しゆえ、拒否権なし。店頭販売の継続は自由とは言う。日本たばこの自販機だって来年の無償貸出継続は検討中とも言われている。老母に告げたら、ホッとした顔で、これで辞められる、と。
てなわけで、人生二度目の商売廃業を経験することになった。一度目はガソリン・スタンドで、負債が3億7000万円ほどあった。それに比べれば借金もないので気分は全く違う。
それでも、これで祖父が昭和2年に食用油問屋から始めた『自営業』が全部なくなる。やはり商売人には向いてないとつくづく痛感する。
今後の余生はどうなるのだろう。フリーの編集だって、いつ何時、打ち切りになるかもしれない。
本当にフリーの人生だわな。思い起こしても、昔から思い描く未来は実現などしなかった。さて座右の銘だな。『ケ・セラ・セラ』で余生だ。
ただし、考えようによっては、申し訳ないと思いつつ、老母に店番を頼んで旅行に行くよりはラクに行動できる。
オーダー発注や入荷確認などなくなり、沖縄だって一週間以上も滞在可能になるわな。
事実、少しの経費が使える程度で、タバコ屋から給料は数年も発生してなかった。なので、収入が激減することはないのが幸いである。
でも、ランチも外食が多くなると成人病が心配だし、出掛ける機会が増加すれば出費も増加だよな。
逆に、今回の大型連休同様、そういう時は「内弁慶」と思いつつ、実は完全引き籠りに発展、てなことになりはしないだろうか。
などといった問題も増加するが、一番心配なことはここで書くネタが減少することだったりする。
まったく、今後、何が起きるか解らない。何て「令和」の夜明けだ。