スタッフ
監督:ケン・アナキン
製作:ミルトン・スパーリング、フィリップ・ヨルダン
脚本:P・ヨルダン、M・スパーリング、J・メルソン
撮影:ジャック・ヒルデヤード
音楽:ベンジャミン・フランケル
キャスト
カイリー中佐 / ヘンリー・フォンダ
ヘスラー大佐 / ロバート・ショウ
グレイ将軍 / ロバート・ライアン
プリチャード大佐 / ダナ・アンドリュース
ガフィー軍曹 / テリー・サヴァラス
ウェーバー少尉 / ジェームス・マッカーサー
ルイーズ / ピア・アンジェリ
コンラート伍長 / ハンス・クリスチャン・ブレヒ
ウォレンスキー少佐 / チャールス・ブロンソン
日本公開: 1966年
製作国: アメリカ ユナイト作品
配給: ユナイト
あらすじとコメント
前回「戦場」(1949)で描かれた第二次大戦でのドイツ軍最後の大反攻で苦戦を強いられた米軍。それを大作として描いた作品。色々詰め込んだ内容だが、大雑把さを感じる戦争巨編。
ベルギー、バストーニュ連合軍の圧倒的物量作戦で、いよいよドイツが敗戦濃厚な時期。米軍上層部はドイツの大反撃はないと踏み、いよいよ終戦が近づいてきたと確信していた。
しかし、陸軍情報部のカイリー中佐(ヘンリー・フォンダ)は、必ず最後の大反攻があると信じて疑わなかった。その証拠を探そうと偵察飛行した結果、森の中に隠してあるドイツの重戦車を発見し報告。しかし将軍らは、ほんの数台だろうと取り合わない。
一方、ドイツ軍はナチスのへスラー大佐(ロバート・ショウ)を最後の重戦車軍団の指揮官に任命していた。しかし、既にヴェテラン戦車兵は生存しておらず、未成年の兵士ばかリであることに不安を覚える。しかも、燃料や砲弾も少ない状況であるが、この反撃作戦が愛するドイツ帝国の雌雄を決すると腹を括った。
そんな動きなど知らないカイリーは、更に証拠を探そうと偵察飛行に飛び立つが、撃墜されてしまい・・・
ドイツが仕掛けた最後の大決戦を米独双方から描く超大作。
これによりアメリカ軍は大苦戦を強いられたのは紛れもない事実であり、もはや戦車隊など存在しないと多寡を括っていた上層部の判断ミスが拍車をかけたのである。
一方のドイツ軍も窮鼠猫を噛む的状況である。
そんな双方の状況から、敵の反攻作戦をいち早く知りながら、報告できない主役である米軍将校と愛国心に満ちたナチスの戦車隊長を均等に描いていく。
しかも、米軍側は判断能力に欠ける若い将校や、闇物資で一儲けを企む戦車隊のヴェテラン下士官、ドイツ側は元校長で若い部下が死んでいくのに耐えられなくなっている下士官などがサブキャラとして登場してくる。
更には、後方霍乱のためアメリカ兵に変装したドイツの特殊部隊らの動きなども描かれ、その作戦の全容を集大成的に描いていく。
それなりの俳優を多数起用し、派手な戦車戦や町を破壊する攻防戦など、巨編として進行。
ただし、ご都合主義な内容と、ドイツの最新重戦車とアメリカの戦車の違いを見せるために、製作当時の実戦配備用米軍戦車の大小で能力差を、塗装や国識別マークの設定で違いを誤魔化したりと、時代考証やら軍装備など、マニアから顰蹙を買った作品でもある。
制作側からすれば、ホンモノの戦車で撃ち合うという迫力を優先したのだろうが、ワイド画面の極致『シネラマ』で作られたのに、草原にスカスカの戦車が点在し砲撃し合うというのは、実戦さながらではあろうが、絵面的に迫力に欠けるのも事実。
しかも、ホンモノが登場しながら破壊場面などはミニチュアのリモコン模型というのも残念。
サブキャラも含め、実力派の上手いキャスティングでもあり、米独双方の上層部批判も盛り込まれて、人間ドラマ部分は上手くさばけている。
要は欲張って詰込み、サービス感満載なのだが、どうにも大雑把さが勝るので、残念な印象の超大作。