スタッフ
監督:トム・グリース
製作:ジェリー・ガーシュウィン
脚本:アリステア・マクリーン
撮影:ルシアン・バラード
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
キャスト
ディーキン / チャールス・ブロンソン
ピアース / ベン・ジョンソン
マリカ / ジル・アイアランド
フェアチャイルド / リチャード・クレンナ
クレアモント少佐 / エド・ローター
オブライエン / チャールス・ダニング
ピーボディ / ビル・マッキニー
モリノー / デヴィッド・ハドルストン
カルロス / アーチ-・ムーア
日本公開: 1976年
製作国: アメリカ ガーシュウィン&コスナー・プロ作品
配給: ユナイト
あらすじとコメント
「さらば友よ」(1968)以降、主役級になったチャールス・ブロンソン。かなりの作品が製作されたが、玉石混合である。その中で、割と好きな部類のサスペンス・アクション西部劇。
アメリカ、ネヴァダ騎兵隊員や軍馬を乗せた軍用列車が燃料補給のため田舎の駅に停車した。目的地はロッキー山脈にある砦だが、そこではジフテリアが蔓延し、全滅の危機に瀕しているので救出に向かうためである。
そんな列車に、いかさま賭博で逮捕されたディーキン(チャールス・ブロンソン)が保安官に連れられて乗車してきた。車内には州知事フェアチャイルド(リチャード・クレンナ)や、目的地砦の守備隊長の娘マリカ(ジル・アイアランド)などが乗っていた。しかも砦の近くの金鉱には金銀が大量に貯蔵されている。
ところが、出発間際に将校二名が失踪してしまう。仕方なく出発するが、その後も不可思議なことが連続し始めて・・・
起伏に富んだストーリィで進行する娯楽アクション作。
本来の目的の他に、何やら企みがありそうな人々が乗車する軍用列車。
その列車内で事件が起きていくが、誰が犯人で、尚且つ、何名が敵で誰が味方かという謎解きやら、先住民までも絡んでくるという複雑な設定が二転三転する内容で進行する。
先ず、筋運びが面白いのは、原作が「ナバロンの要塞」(1961)などを手掛けたアリステア・マクリーンだからだろう。
スコットランド出身作家にして、アメリカの西部劇を舞台にした作品であり、そこにイギリス系らしい冒険小説の要素を持ち込んだ態で、何とも不思議な感覚も覚えた。
アガサ・クリスティー原作の「オリエント急行殺人事件」(1974)のような列車内という密室で逃げ場のない推理劇から、パニック大作の「カサンドラ・クロス」(1976)にも通じるアクションのクライマックスまで盛り込んでの進行。
それを変な思い込みで脚色しない作劇も、B級イメージが払拭できないトム・グリース演出が却って効果を上げているとも感じた。
出演陣も当時の、クセのある脇役を上手く起用し、悪役から、おっとの正義漢まで演じ分けるメンツを揃え、こちらの先読みを楽しませる。
ただし、あくまで『B級感』が優先するので、そこはご愛嬌でもあるのだが。
ブロンソンとジル・アイアランドの夫婦共演の一本でもあるし、監督も「ブレイクアウト」(1976)等、息の合うトム・グリースなので、ある意味で「あうん」の呼吸を感じる。
そもそも、このトム・グリース監督自体、もう少し評価されても良いと思うのだが、個人的には主役がブロンソンでなく、別な俳優だったら、更に面白い作品に仕上がっていたとも感じる。
下積みが長いブロンソンゆえの悪い演技面も感じるし、やや尻つぼみ感もあるが、当時の冒険アクション、しかも西部劇の、としては安心して観ていける娯楽作といえるであろうか。