沖縄滞在中だ。ここでは毎回、何かが起きるのだが、今回もで、何だかな、である。
到着初日は、那覇で呑んだ暮れ。これは予定通り。で、今回は修学旅行生受け入れで宿泊不可の渡嘉敷島ではなく、程近い「阿嘉島」に二泊がメイン。
飛行機乗換えで石垣や宮古島ではなく、那覇市内の港から一時間強で行けるパラダイスの慶良間諸島は旅費も安く魅力的だ。
例え宿泊不可でも、渡嘉敷島で行きつけの店があるので、そこには顔を出したいと思い、半日過ごして阿嘉島に渡る計画にした。
二日目の朝は快晴。良い良しとニヤけて、鼻薬用の手土産を持ち、フェりー朝便に乗船するべく向った。
何と乗船客が多勢いて、船は満席状態。一時間チョイの我慢か。次は港からバスだが、それも満員。さすが、国立公園ともなると人気が違うんだな。
目当ての店に着くと、すぐにお母さんに挨拶し、手土産を渡すがキョトンと、誰かね状態。流石に三年振りじゃ、仕方ない。息子さんの名前を出すと、外で客引きしてるはずさ、と。
外に出ると、白髪が目立つ御仁が息子さんだった。随分と変わったねと声を掛けると、驚いて「タバコ屋さんの方でしたよね」と答えてきた。しめしめ、彼は覚えていたか。
季節柄か、二種類のメニューしかなく、片方の「ソーキそば」と缶ビールを注文し、テラス席に移動し陣取った。あきれるほどの快晴だ。
すると一段落したお母さんがやってきて、座り込んで話しだした。二週続けての台風は大変だったさ。本島もこっちも甚大な被害でさ、と。
こっちは、それに当たらず幸運。そういえば、旅行前、飲み仲間から、悪運だけは強いねと言われていた。何がとも思ったが、雨には当るが欠航やら足止めはないよね、と。確かにそうだな。
しかし、以前より客足が増加し、次々と客が来店し、息子さんは用品貸し出しに大忙し。するとヒマを見て、紙コップに入った液体を持ってきた。「ゆっくり飲んでね」何かと思ったら泡盛であった。
真夏のような晴天下の泡盛か。酔いそうだな。藍い海に多勢の観光客。昔と随分と変わったなと思いながらもチェイサー代わりの缶ビール。お母さんは、勝手知ったるクーラー・ボックスから勝手に取れと笑う。
ノンビリしていると、船は何時だったかね、とお母さんが。4時ですけど、と答えるとまだ行かないのかと畳み掛けてきた。
あれ、腕時計が止まっている。慌てて携帯電話の時計表示を見ると3時を随分と過ぎていた。何てこった、ここに来て電池切れ。
慌てて、今度は泊まれる時期にまた来ますね、と支払いへ。そばの代金だけでいいさ、後はサービスさ、と嬉しいお答え。流石の「鼻薬」。
お父さんに車で送ってもらえ、といってくれたが、何と不在。時間もないし、辞退し徒歩で誰もいない方角へ。先に小さな港があり、そこに渡し舟が着く。それにしても良い天気だな。
船の到着直前、台湾人カップルが到着し、乗船客は三名。いよいよ「阿嘉島」初上陸だ。
一泊目は、おばあさんが一人で切り盛りする民宿。二泊目は、その近くの別な宿。次回、仲間と一緒に来るために別宿の方が比較できるかと思ったから。
ところが、そこで今回最大のアクシデントを迎えることになるのだが。