映画に愛をこめて アメリカの夜 – LA NUIT AMERICAINE(1973年)

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スタッフ
監督:フランソワ・トリュフォー
製作:フランソワ・トリュフォー
脚本:F・トリュフォー、ジャン・ルイ・リシャール、S・シフマン
撮影:ピエール・ウィリアム・グレン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー

キャスト
ジュリー / ジャクリーン・ビセット
セヴリーヌ / ヴァレンティナ・コルテーゼ
アレクサンドル / ジャン・ピエール・オーモン
アルフォンス / ジャン・ピエール・レオ
フェラン / フランソワ・トリュフォー
ステーシー / アレクサンドラ・スチュワルト
ベルトラン / ジャン・シャンピオン
ジョエル / ナタリー・パイ
ベルナール / ベルナール・メネス

日本公開: 1974年
製作国: フランス、イタリア フィルム・デュ・カローヌ他作品
配給: ワーナー


あらすじとコメント

映画製作の映画で繋げた。今回はコメディではなく、かなりシニカルだが、これぞ我々が観る『映画』の裏側の真実だと不思議な感覚が押し寄せてくる好編。

フランス、ニース撮影所でフェラン監督(フランソワ・トリュフォー)による新作映画の撮影が開始された。

内容は、フランス人の青年役アルフォンヌ(ジャン・ピエール・レオ)の結婚相手のイギリス女性役ジェリー(ジャクリーン・ビセット)が、彼の父親と不倫関係になるというドラマ。

だが、アルフォンヌはスクリプト係の女性に熱を上げ、結婚しようと言いだす。ヒロイン役のジェリーは神経を病んで、一時期芸能界を引退していたが、これが本格復帰作となる予定であった。しかし、どれほど病状が回復しているのかは誰も把握しておらず、撮影は開始されているが、まだ現場に来ていなかった。

様々な状況が並行しつつ、フェランは撮影を続けるが・・・

普段目にしている映画が、どのようにして作られるかと描くバックヤード物の佳作。

撮影所にセットを組み、そこで撮影を開始する。

登場するのは映画関係者のみ。俳優には、幼稚な発想で女性を束縛しようとする若手男優、プレイボーイで名を馳せたイタリア中年男、息子が白血病でアル中気味のヴェテラン女優、そしてヒロイン女優は情緒不安定から引退したが、安定傾向で復帰作。

スタッフにも仕事命の助監督、俳優とデキているが、他の男にも色目を使う女性や、保険やら俳優らの契約から、出資者とのパイプ役までをこなすプロデューサー、そしてキャスト、スタッフ全員との意思疎通を図りながら、予定変更に追われる監督など。

誰もが個性的であり、大変そうだ。全スタッフは近くのホテルに長期滞在しているから、様々な人間関係が、ややこしく繰り広げられていく。

そういった個性の塊である業界関係者たちのドラマと、次々と起きるアクシデントを乗り越えてクランク・アップに漕ぎつけられるかを描いていく。

2時間程度の作品のために、裏ではどのようなことが繰り広げられるのか。

細かい小道具の使用方法や何テイクも撮り直したり、台詞覚えが悪い俳優がカンペをどのように使ったりするかとか、かなり興味深い舞台裏が綴られて行くので楽しい作劇だ。

多分に映画製作を続けてきたトリュフォー自身の経験も加味されているであろうし、監督役を本人が演じているから、こちらも、トリュフォー自身だと感じざるを得ない。

しかも、監督の出世作「大人は判ってくれない」(1959)のシーンを何度も再現して登場させたり、その作品で主人公を演じたジャン・ピエール・レオがワガママな若手俳優として出演している。

要は「大人は判ってくれない」の少年が成長し、俳優業に就いている。だから、こんな青年になっているのであろうなと想像させ、それも映画鑑賞歴の愉悦にもなるという寸法。

トリュフォー自身の映画愛を感じる作品であり、映画とは、観る観客の前に、作り手がいることを再認識させられもする。

どのように映画が出来上がっていくのかを教えてくれながら、複雑な人間関係やトラブルの連続が当たり前という、かなり変わった業界でもあると教えてくれる佳作。

余談雑談 2018年2月10日
外出の時、使用頻度が高いのは地下鉄の銀座線と都バスである。JRは間近に駅がないし、距離によりタクシーかよ、と思うほど高くなるので、滅多に使用しない。 銀座線は、東洋一古い地下鉄で、ホームも地下二階とラクである。しかも本数が多く、ラッシュ時に