まったく、積雪なんぞしやがって。東京は雪に弱いと知っているし、報道も前日からそればかり。当日も急激に気温が下がり、途中から「大雪警報」も出た。
しかも、風向きの所為で店頭の小さな窓口に雪が吹き込む。仕方なく早目の閉店。まあ、早く帰宅できて良かったが、翌日が心配であった。
「雪かき」である。積雪は4年振りとかで、当時も体力的に参った記憶が甦り、4年も経てばと考えただけで落ち込んだ。
で、翌朝行ってみると案の定。しかも、店側に風が吹き巻いていたのか、反対側は積雪がほぼないのに、こっち側は山積み。雪かきを始める前から出鼻を挫かれたな、てなもんだ。
良く見ると、隅っこに小さな「雪だるま」があった。近くには小さな足跡が。小学生が通学途中に、雪に喜んで作ったものだろう。
何とも微笑ましかったが、それだけ残すのもどうかと思った。きっと、帰宅時には崩れているだろうしな。
少しだけ和んで、雪かきを始めてしばし、近所のお爺さんが危なげに近付いてきて、ねぎらいの言葉をかけてくれた。
有難いのだが、ちょっと苦手。景気はどうだ、尤も自分は煙草を一切、吸ったことがないんだがね、が口癖。しかも口元にイヤらしい笑みを浮かべる。だから、健康で長生きなんだよと言わんばかり。
初めは頭を掻く程度だったが、最近は、こちらも同じ返答。「旦那、吸わなくても良いから買ってくれれば良いんですよ。後は、上げようと捨てようと」
決まって嫌な顔をする。フンだ、年長だからって上から目線は御免だ。
何とか、半時程で終了したが、翌日は寝起きから腰が痛かった。しかも、直後に最強寒波が来襲。東京は約半世紀振り、平成史上では最低気温を記録。最高気温だって、一桁だし。四捨五入などしようもんなら、ここはどこだ状態。しかも北風も強い。
こういう時は温泉だよな。何たって気温は温泉地と同じじゃないか。
まあ、良いさ。しぶとく路地に残る雪だまりを見つつ、来月の本当の温泉に夢を馳せるさ。