殺しのエージェント – THE LIQUIDATOR(1966年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッ

監督:ジャック・カーディフ
製作:ジョン・ペニントン
脚本:ピーター・イェルダム
撮影:テッド・スケイフ
音楽:ラロ・シフリン

キャスト
オークス / ロッド・テーラー
モスリン / トレヴァー・ハワード
アイリス / ジル・セント・ジョン
局長 / ウィルフリッド・ハイド・ホワイト
シェリク / エイキム・タミロフ
クァドラント / デヴィッド・トムリンソン
ジュディス / スージー・ケンドール
グリフィン / エリック・サイクス
チェコフ / ジョン・レ・モズリエ

日本公開: 1967年
製作国: イギリス レスリー・エリオット・プロ作品
配給: MGM


あらすじとコメント

前回はスパイ・アクションの歴史を変えた作品だった。当然、亜流が数多く輩出されたが、その一本。コメディ要素が先行する同国イギリスが作った映画。

イギリス、ロンドン小さなカフェを営む気弱だが女好きのオークス(ロッド・テイラー)は、第二次戦争中に偶然が重なって助けたモスリン(トレヴァー・ハワード)に、突然声を掛けられた。

戦後、英国情報部で出世したモスリンは、殺しも厭わない新規エージェントが必要になり、当時の活躍を覚えていてスカウトにきたのだ。何を誤解しているのかと断るオークスだが、贅沢で優雅な生活をチラつかされ、思わず同意してしまう。

翌日から訓練が始まるが、またもや偶然が重なり幸運にも次々と難問をクリアしていく。その上、性格は変わるはずもなくモスリンの美人秘書アイリス(ジル・セント・ジョン)に興味津々だから、ことさら頑張るってもの。

ところがスパイが民間人に手をだすと法律に違反し厳罰が下ると教えられ・・・

凄腕と誤解された男を巡るコメディ・アクション。

気弱なのに、クールでミッションを遂行するタイプに間違われる主人公。

それを見抜けず信用し、訓練から指令遂行を命じる他人を見る目がまったくない上司。その上、英国情報部の半分以上がマヌケで役立たずという設定。

主人公はジェームス・ボンドよろしく格好付けだが、どうにも単純なタイプで運だけで生きるようなタイプ。

何せ、晴れてエージェントになって殺人指令が下ると気弱ゆえに実行できず。ならばと法外な給料から凄腕の殺し屋を雇い、代理遂行させる始末。

それが上手く行ったので全ての殺害ミッションは代行させ更に凄腕として認知されていく。自分でも自惚れて上司の美人秘書を篭絡しようと躍起になると何故か上手く行き、週末にフランスのニースにお忍び旅行に行くことが決定。

完全にご都合主義のコメディ展開。秘書との情事がバレれば国家法違反で厳罰なので、妙なスリルが発生するが、フランス側のエージェントもマヌケの上を行くバカばかり。

どこでサスペンス要素が醸されてくるのかと思っていると、やっと終盤でそれなりの展開と相成る。それもどこまでも人を喰ったというか、バカにした楽観主義てハッピーエンドなのだから笑える。

個人的には、007の派生形として同じようなコメディ要素優先のイギリス映画「潜行」(1965)と比較してしまった。

間違いなく当時は007シリーズという存在が本家イギリスに限らずイタリアや日本といった世界中で、どれほどの影響を与えたのかを証明してもいると感じさせてくれる。

ただし本作はスマートなサスペンスよりも肩肘張らずにノンビリと楽しむイギリスのスリラー系娯楽作という位置付けではあるが。

余談雑談 2022年5月21日
大人の対応か。でも、一体何を指して「大人の対応」と呼ぶのだろうか。 相手を思いはかって言動するとか忖度とか。逆に、昔の下町的『お節介』はハラスメントになるんだろう。となると見て見ぬ振りをするべきでもあるし、それがクールという名の「冷たさ」も