スタッフ
監督:ジョージ・シートン
製作:ウィリアム・パールバーグ
脚本:ジョージ・シートン
撮影:フィリップ・ラスロップ
音楽:ディミトリ・ティオムキン
キャスト
パイク少佐 / ジェームス・ガーナー
ゲルバー少佐 / ロッド・テイラー
アンナ / エヴァ・マリー・セイント
シャック / ヴェルナー・ペーターズ
マクリーン大佐 / アラン・ネイピア
エルネスト / ジョン・バナー
アリソン将軍 / ラッセル・ソーソン
オスターマン大佐 / オスカー・ペレギ
アボット大尉 / エド・ギルバート
日本公開: 1965年
製作国: アメリカ パールバーグ&シートン・プロ作品
配給: MGM
あらすじとコメント
スパイ・スリラーもので繋げる。ただし時代は米ソ冷戦下ではなく、遡って第二次大戦下。戦争の雌雄を決したノルマンディー上陸作戦の極秘情報を巡る米独の駆け引きを描いた作品。
ポルトガル、リスボン1944年5月、連合軍はドイツ占領下のフランス、ノルマンディー地域への大規模上陸作戦を決定。連合軍指令部付のパイク少佐(ジェームス・ガーナー)は、上陸地点の情報がドイツ側に漏れていないかの調査を命じられ、リスボンに潜入していた。
一方のドイツ側首脳部は、英仏海峡最遠距離のノルマンディーではなく、最短地点カレーへの上陸濃厚との推測が優勢であった。しかし、その情報すら連合国側を意図的にだます偽情報かもしれぬゆえに確認が必要。その確証入手が彼の役目である。
そこでパイクはカフェで情報提供者との接触を待っていたとき、急に意識が遠退いた。意識が戻ると米軍病院で担当医ゲルバー少佐(ロッド・テーラー)と看護師アンナ(エヴァ・マリー・セイント)が傍らにいた。そして驚愕の事実を知らされる・・・
極秘情報漏洩の攻防を描くスパイ・スリラー。
史上最大規模の上陸作戦の詳細を知る主人公。ドイツ側は主人公が情報に精通していることを突き止め拉致しようとする。
ところが、相手が簡単に口を割るとは思っていないドイツ側は壮大な計画を立てる。巨大な敷地に米軍病院を建造し連合国勝利で戦争が既に終了し、6年後の1950年になっているという設定で騙そうというのだ。その6年の昏睡状態下で主人公には白髪が生え、筋力や視力も落ちていると投薬で信じ込ませる。
しかし、ドイツ内部でも国防軍とナチスの関係が悪く、ナチスは拷問による自白で済む話だと圧力をかけて来る。
そのナチス介入までの時間が36時間なのだ。エリート医師は成功事例が連続18回もあり、自発的に口を滑らすという自信がある。そのために敢えてノルマンディー上陸の成功で形勢が逆転しドイツが負けたと信じ込ませる。
ところが、それが本当になるとナチスの面目は丸潰れとなる。やがて、そんなドイツ内部の権力抗争が、当然影響を与えて行く。
そしてドイツ軍に協力する女性看護師はユダヤ人。なぜ、彼女は協力するのか。これも後々に影響してきそうだ。
だが、主人公がどの段階で壮大な罠を知り得るのか。何せ、ノルマンディー上陸は歴史的事実であるのだから、ドイツが情報収集に失敗するというオチは想像付くし、序盤で病院施設が騙すための壮大なドイツの作戦だと観る側に提示してくる。
それでいて面白いと感じた。伏線もちゃんと張ってあるし回収もしている。
ドイツ側エリートにも見せ場を設けているし、そういう意味では第三帝国こそ世界最強と信じて疑わないナチスを単純な悪として描けば、角も立たないのだろう。
終盤でも何とも思わせ振りなキャラクターが登場してきたり、ラストまで飽きさせずに引っ張る内容と筋運びも充分に及第点。
出演陣も主役のジェームス・ガーナーを筆頭に、ドイツ軍医師役のロッド・テーラーも緩急が付いてドラマを盛り上げる。
しかし一番の存在感を醸すのは看護師役のエヴァ・マリー・セイント。薄幸そうな女性を上手く表現している。
結果が歴史的事実として幅広く知られている事象を知った上で、上手い着地点まで引っ張る内容を考えてもトータル的にバランスが取れたスリラーであると評価できようか。