襲撃 BURNING DOG   平成3年(1991年)

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スタッフ
監督:崔洋一
製作:青木勝彦
脚本:鄭義信
撮影:佐光朗
音楽:高桑忠男

キャスト
シュウ / 又野誠治
タクシ / 内藤剛志
メイ / 熊谷真美
コージ / ユキオヤマト
ヨーコ / 金久美子
モリモト / 六平直政
/ 伊藤洋三郎
/ 朱源実
/ エドワード・サーディ
/ 芹明香

製作国: 日本
配給: 東映(ビデオ発売)


あらすじとコメント

沖縄、恩名東京で現金強奪に成功したシュウ(又野誠治)たちだったが、山分けの時に一人が裏切り、いきなり拳銃を乱射し現金を独り占めして逃走。結果、シュウ以外は全員死亡してしまった。

復讐に燃える彼は体調が戻るとすぐに裏切り者を見つけ出し射殺した。これで振り出しだとばかりに沖縄へ逃亡。するとそこでかつての強盗仲間タクシ(内藤剛志)と再会。更にこの地にはかつてのシュウの恋人で犯罪仲間だったメイ(熊谷真実)も来ており、タクシ自身は現在米軍基地内で清掃及び廃品回収業を営んでいると言った。

そしてすぐにシュウに儲け話があると持ち掛けた。それが・・・

実際に起きた犯罪を絡めたアクション作。

かつての顔見知りの犯罪者たちが何故か一様に流れ着いた沖縄。

主人公は台湾にでも逃走しようかと思っていたが、かつての相棒が米軍基地内の現金強奪を立案し誘ってくる。

不可能だと笑う主人公に基地の総務将校が台湾系マフィアと密売しているから、そこが狙い目と答える旧相棒。

乗り気になり、他に三名必要と相成るが、当然怪しい雲行きになる展開。

しかし、流石のビデオ専用の作品であり、アクション、バイオレンスとエロ優先で設定や展開など完全に無視。

対警官と派手な銃撃戦を繰り広げたりするのに、何故か指名手配にならない主人公。まさしく沖縄自体が治外法権なのかと笑ってしまう。

旧相棒も弟分を溺愛するあまり自分の妻と浮気してもニヤニヤ許すし、プロでもないのに仲間に引き入れたりする。

それがサスペンスや愛憎劇を繰り広げていくのは理解できるが、あまりにも突拍子もない。

まさに、そのあたりが「ビデオ専用作品」なのだ。つまり、購買者なりレンタル者には難しい内容や複雑な伏線など必要ないのだ。

その上、低予算。その点では、崔洋一の芸風はマッチしている。

しかし、本作で興味深いのは、主役の又野誠治が松田優作の再来というか、完全に亜流だと感じさせること。

加えてヒロインの熊谷真実の実妹、松田美由紀は松田優作の妻である。しかも又野は後年『Aサイン』という飲食店を経営し、その店内で自殺している。そして崔洋一は「Aサインデイズ」(1989)を輩出している。

今、見直すとに別な意味で感慨深い。大雑把でいかにもの低予算。

雰囲気と荒業で展開していくが、そこに妙に崔洋一の骨太さがマッチする場面もある。

ただし、あくまでもビデオ用作品。しかし、それすら郷愁的懐かしさを感じざるを得ない。

製作されたのが1991年でバブル崩壊直後であり、急速な開発が進む沖縄の息吹を感じさせたり、女性陣のメイクや衣装など完全にバブリーだ。

妙に急ぎ過ぎて見失っていった日本人の何かを喚起させてくれる作品でもある。

余談雑談 2022年8月8日
今回の都々逸。「実な心の竹橋よりも じゃけんなお前をすきや橋」これは粋とか未練ではなく、「地口」系。今でいう「親父ギャグ」的なもの。あくまでも東京の地名を若干知らないと理解しずらいかもしれない。まあ「すきや橋」は銀座の「数寄屋橋」で、「竹橋...