スタッフ
監督:ロン・アンダーウッド
製作:ナンシー・ロバーツ、ショーン・ダニエルズ
脚本:ブレント・マドック、S・S・ウィルソン
撮影:マイケル・ワトキンス
音楽:マーク・シェイマン
キャスト
ライリー / ロバート・ダウニー Jr
ウィンスロー / チャールス・グローディン
ペニー / アルフレ・ウッダード
ジュリア / キーラ・セジウィック
ペック / トム・サイズモア
ハル / デヴィッド・ベイマー
アン / エリザベス・シュー
7歳時のライリー / エリック・ロイド
マルコ─ / リチャード・ポートナウ
日本公開: 1994年
製作国: アメリカ アルファヴィル、スタンピード他作品
配給: UIP
あらすじとコメント
死んだ人間の霊魂が他人に憑依する映画で繋げた。とはいっても仲の悪い者同士が同居するのではなく、守護霊的な存在で、しかも四人もいるという、心温まるファンタジー・コメディ。
アメリカ、サン・フランシスコ1959年のある晩。初産の新妻が産気づき、亭主が運転する車で病院に向かっていた。
一方、オペラ歌手志望ながら極度の緊張症で、オーディションに落ちまくっているウィンスロー(チャールス・グローディン)、最愛の恋人に対し優柔不断な態度で振られそうなジュリア(キーラ・セジウィック)、コソ泥のベック(トム・サイズモア)、三人の子供を持つシングル・マザーのペニー(アルフレ・ウッダード)の乗客四人を乗せたバスが、運転手の脇見運転から大事故を起こし全員が死亡してしまう。
事故に巻き込まれながらも無事だった妊婦は、ショックから車内で出産。
だが、死んだはずの乗客四人は天国に召されず、何故か生まれたばかりの赤ん坊のそばに吸い寄せられて行き・・・
赤子の守護天使となった四人の男女が、その成長を見守るファンタジーの佳作。
それぞれ悩みというか、問題を抱えた見知らぬ四人が、聖天し切れず男の子の守護天使的立場になってしまう。
彼らは、後の主人公である子供にだけ見えるので、両親や周囲の大人たちには一人で話し合っているかのような、妙な言動に見え、精神的に病んでいると誤解されるようになる。
四人も、子供が変人扱いされるのは本意ではないので、取り敢えず、存在はし続けるが見えないようにと姿を消す。突然の別れに泣きわめく少年。
そして話は一挙に二十年後に飛び、いよいよ成人した主人公が登場して第二章と相成る展開。
成人した青年は、仕事には真面目だが、恋人には優柔不断という、成長しきれていない存在となっていて四人はジレンマに陥っている。今の彼女を失えば彼は不幸になるからだ。
そんな折、突如、天国行きのバスが四人の前にやって来る。しかも、自分らを事故死させたバス運転手がドライバーでだ。
何でも、天国の間違いで長年放置されたが、いよいよ天国へ召されるぞ、と。
ところが、他人の所為で死んだ者は無念を晴らしてから天国に迎え入れられると知り、四人各々が、それぞれの思いを遂げようと奔走しだす展開。ただし、残り時間は僅かである。
しかし、あくまで霊魂であって、肉体は存在していない。ならばと、主人公の前に再度姿を現し、ことの次第を無理矢理納得させ、主人公の体を借りて実現していくのだ。
聴衆の前で歌いたいと願う歌手志望の男、最愛の恋人の後を追った若い女性、貧乏な家庭で育つ幼い子供三人のために奔走する母親、そして金持ち専門のコソ泥ながら、たった一度子供を騙したことを後悔している男。
死んだときの姿のまま歳も取らず、四人の心残りが、現実には30年後にどうなっているのかを追っていくのだが、進行は、正に古き良きウェルメイドのパラマウント調アメリカ映画。
出演陣では、事故を起こし罰として500年の「お迎え運転手」を拝命されたデヴィッド・ベイマーのふてぶてしい演技が印象に残る。まあ、四人も殺しておいて天国に行けるというのも珍妙な設定ではあるが。
他に、四人の守護天使も、中々、上手いキャスティングだと感じるが、個性のまったく異なる四人が乗り移るたびに、本人らしい演技を見せるロバート・ダウニー Jrが何とも秀逸。
天国に召喚される時間が刻々と近付きつつ、四人の願いは叶うのかという、若干、スリリングな展開を見せつつも、そこは正調コメディ・ファンタジー映画だ。
些か、疑問符の付く達成もあるが、心が弱っているときに観るには好材料な佳作である。