スタッフ
監督:ナンシー・マイヤース
製作:スーザン・カートソニス、ブルース・ディヴィ 他
脚本:ジョッシュ・ゴールドスミス、キャシー・ユスバ
撮影:ディーン・カンディ
音楽:アラン・シルヴェストリ
キャスト
マーシャル / メル・ギヴソン
ダーシー / ヘレン・ハント
ローラ / マリサ・トメイ
ワーナメイカー / アラン・アルダ
アレックス / アシュレー・ジョンソン
ファーウェル / マーク・フォイアスタイン
ジジ / ローレン・ホリー
イヴ / デルタ・バーク
マーゴ / ヴァレリー・ペリン
日本公開: 2001年
製作国: アメリカ イコン・プロ作品
配給: ギャガ、東宝東和
あらすじとコメント
今回は幽霊ではなく、ある種、憑依というか、他人の心の声が聞こえるようになる男の話。何とも、昔風の男を小馬鹿にした、なかなか興味深いラブ・コメ作。
アメリカ、ロサンジェルス大手広告代理店のディレクター、マーシャル(メル・ギヴソン)は、バツイチながらモテモテのプレイボーイであり、完全に男尊女卑の発想を持つ男。
次々と、広告のヒットを飛ばし、いよいよ出世かと誰もが思っていた。ところが、社長に呼ばれ、会社テコ入れのため、他社からヤリ手のダーシー(ヘレン・ハント)を引き抜き、上司に任命したと。
驚きながらも、所詮、女上司など、すぐに打ち負かしてやると思っていた。ところが、初顔合わせでダーシーは、いきなり女性用製品を全員に配り、明日までに最低一つ以上の商品宣伝プランを考えてくるようにと命令。
あまりの展開に躊躇うマーシャル。仕方なく、帰宅後、商品テストと称し、口紅やマニキュアなどを試していると元妻の新婚旅行のため15歳になる娘アレックス(アシュレー・ジョンソン)が、二週間ほど同居すると恋人とやってきた。
娘は、父親の信じ難い姿を見て・・・
偏向男性が突然女性心理が聞こえるようになり、巻き起こるコメディ作品。
ラスヴェガスのショーガールの母親の元に生まれ、ダンサーたちに可愛がられ、父親代わりは、俗に言う、その手の男たち。
そんな幼少時代から女性蔑視で育ち、愛欲の対象としてしか異性に接してこなかった主人公。だからこそ、少し前までは男性主体の宣伝でヒットを連続出来ていた。
ところが、そんな彼が風呂場で感電したショックから、女性の考えがすべて聞こえる特殊体質になる。
ある意味、女性の本意が聞こえたら、他の男を出し抜き、すべての女性を落とせるよなと、これほど贅沢で嬉しい展開はないと思う男性願望の映画化だろう。
主人公の設定からしてそうだ。ところが、現実は、さに非ずという展開。何故なら、タイプ外の女性から、すれ違う全女性、果ては雌犬の思考までが、大津波のように押し寄せてくるからだ。
会社では従順な女性部下や15歳の娘までの本音が聞こえるから、益々、困惑。
とはいえ、王道のラブ・コメディなので、紆余曲折しながらも結末は想像に難くない。
使用される音楽のチョイスも60年代のスタンダードが主流で、何ともノリが良い進行。要は、60年代ティストの昔懐かしい作劇。
当時なら、ケーリー・グランドが演じそうな役を、私生活でも主人公同様の価値観でドラブル・メーカーのメル・ギヴソンが演じる妙味。
その彼のコメディ演技が、大袈裟ながらも面白い。特に、女上司の登場で、自分を鼓舞するためにフランク・シナトラの音楽をかけ、アステア気取りで帽子掛けとのダンスを披露する場面は、逆に、あまり上手くないダンスが彼らしくて微笑んでしまった。
女性の社会進出に伴う、男らしさの価値観が変貌する様を、昔風の作劇で映画化したこと自体、時代が疲弊してしまったんだなと感じさせるが、何とも心地良いオールド・スタイルのコメディとしては、好きな部類に入る作品。