スタッフ
監督:アンドレ・ド・トス
製作:バディ・アドラー
脚本:ケネス・ガメット
撮影:チャールス・ロートン Jr、レイ・コリー
音楽:ジョージ・ダニング
キャスト
トレイナー軍曹 / ブロデリック・クロフォード
ジュリア / バーバラ・ヘイル
リトル・ナイフ / ジョニー・スチュワート
スターバック / ロイド・ブリッジス
ポッター / ミッキー・ショ-ネシー
オラティガン / ジョージ・マシューズ
キンナード / ヒュー・サンダーズ
マルティネス / リック・ローマン
クリール / マーティン・ミルナー
日本公開: 1953年
製作国: アメリカ コロンビア作品
配給: コロンビア
あらすじとコメント
前回の「哀愁の花びら」(1967)で、ヒロインの一人の善良なる亭主を演じたマーティン・ミルナー。映画よりもTVドラマがメインの俳優。有名なのは二人の若者がアメリカ横断する「ルート66」の片方だろうか。そんな彼が若い頃に出演した良く出来た娯楽西部劇を選んでみた。
アメリカ、南西部勇猛な酋長ブラック率いるコマンチ族を討伐するべく、小さな町に立ち寄った騎兵小隊。ところがそこを攻撃され、逆に殲滅させられてしまう。
生き残ったのはトレイナー軍曹(ブロデリック・クロフォード)やラッパ手クリール(マーティン・ミルナー)たち、6名の隊員だけ。彼らは二頭の馬と僅かな水だけで150キロ離れた砦に戻らなければならなかった。
しかし、行く手は砂漠地帯。それでも行軍を始めると、やがて駅馬車が走っているのを見つけた。すぐに合流すると、乗客には軍曹の旧知の仲の元スカウトや、行商人、砦の司令官の妹ジュリア(バーバラ・ヘイル)らがいた。
駅馬車は軍曹の指揮下に入り、砦を目指すことになったが・・・
多勢に無勢の戦いを描く娯楽西部劇の佳作。
頼りになる軍曹と個性的な部下たち。だが敗軍の兵たちだ。そこに駅馬車の乗客ら一般人が加わる。更に、何故か砂漠に一人でいた胡散臭い賭博師、コマンチ族と違う部族で、ひとりで遠乗りして道に迷ったという先住民の少年までが加わり、襲撃に備えながら水を求めての行軍となる展開。
往年の映画ファンなら、この設定はハンフリー・ボガードが主演した戦争映画の佳作で、一台の米軍戦車に様々な軍の兵士が乗り込んでくる「サハラ戦車隊」(1943)だと気付くだろうか。
本作はまさしく、そのリメイクである。登場人物も「サハラ戦車隊」を見ていると、この役はアイツの設定か、とか想像して楽しめるし、両作ともロイド・ブリッジスという俳優が出演しているなと、ニヤニヤするかもしれぬ。
様々な登場人物によるグランドホテル形式にしてアクション。しかも、本作は冒頭の町の全滅シーンからして、かなり派手なアクションが全開で度肝を抜かれる。
その後、敗走する人間ドラマが静かめに繰り広げられるが、夕景を背景に、敢えて人物を逆光状態にして心理模様を浮かばせるショットなどで飽きさせない。
やがて、彼らは枯渇しそうな井戸がある古教会に、充分な水が確保できるまで居座ることになるのだが、当然、敵も水を求めてやって来るという展開。
その後も、「サハラ戦車隊」と全く同じ一進一退のシチュエーションが繰り広げられるが、当然、犠牲者もでてくる。
このアクション場面も、冒頭同様に派手で驚かされる。確かに、今、観ると先住民も実に単純な悪役として描かれるので時代性を感じざるを得ないが、単純明快な娯楽活劇であり、誰が見ても楽しめる作品として、かなり好印象の部類に入る。
出演陣は、実力派ながら日本では認知度の低いブロデリック・クロフォードが主演だし、アンドレ・ド・トスというメジャー系な監督でもないので、忘れ去れた感があるが、中々どうして、おススメできる娯楽西部劇の佳作である。