先週は、お盆休みでもあり、猛暑や里帰りなどで、地元も有名観光地の中心以外は、かなりガラガラだった。
一応、実家のタバコ屋も開けてはいたが、案の定、ヒマであり、たまに来店するのは、近所の御隠居系住人ばかり。
なので、疲れたら閉めるという前提で、老母に店番を頼み、この前、ここで書いた自室近くにオープンした店の二軒に出向いてみた。懐具合で行くと、先ずはランチで様子見。
一軒は「とんかつ屋」。定食が980円で、親子で営んでいた。丁寧な仕事で上品な見た目。ソースの他に、わさび、塩で、味を変えろとか、付け合せのキャベツ用に専用ドレッシングがあったりした。だが、下町生まれ育ちとしては、どうにも東京の下品な味ではなく、北関東の「よそ行き」用の店の味。
もう一軒は、大阪から来た「うどん」。牛のホルモンをじっくり煮込んで、余計な脂分を落とし、関西風すまし汁で食べるうどんとか。
一杯580円で税別。確かに、あっさりした汁だが、思いの外、ホルモンが少なく化学調味料の味が強い。味覚の嗜好は人それぞれだ。だが、個人的には、何で、この内容でその値段なのか、と。
行ったこともないくせに、どうしても大阪の食べ物は安いという印象なのだが、東京ゆえの価格設定なのかと勘繰った。確かに、海外で食べる日本食は、不味くて高いしな。
結論は、両店とも二度目はないな、と。まあ、店の造作など度外視して、本当に『安くて旨い店』という、時代遅れも甚だしい基準ではあるのだが。
それは、場所柄、飲食店の選択肢が多いからこその発想だろうが。自分の子供時代は、戦争体験者なり、他に選択肢がないから、中学にも行けず、飲食店の小僧で入り、やっと独立して、夫婦二人で食べて行ければ良いという価値観で、小さな店を開いていた人が多くいた。
そこにあったのは、自分らも食べられなかったから、安くて旨いものを提供しようとする気風。その手の飲食店では、子供心に教わることも多かった。
しかし、残念なのは、その手の店が全滅してしまったこと。有名観光地ゆえ、ほぼ毎日TVで取り上げられ、芸人やレポーターたちが大袈裟に美味いを連発する、名前だけ有名店も存在する。
時代は加速度を増し、新規飲食店の栄枯盛衰も激しい。決して、声高に「お得なサービス」や、「独自のこだわり」などを言わない店で育った自分からすると、地元に生まれ育ちながら思い出に生きるしかない年齢になったと溜息がでる。