ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー – DIRTY MARY, CRAZY LARRY(1974年)

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スタッフ
監督:ジョン・ハフ
製作:ノーマン・T・ハーマン
脚本:リー・チャップマン、アントニオ・サンティーン
撮影:マイク・マーガリーズ
音楽:ジミー・ハスケル、ボビー・ハート

キャスト
ラリー / ピーター・フォンダ
メリー / スーザン・ジョージ
ソマーズ / アダム・ロアーク
フランクリン / ヴィック・モロー
ドナヒュー / ケネス・トビー
ハンクス / ユージン・ダニエルズ
イヴリン / リン・ボーデン
スタントン / ロディ・マクドォール
マーキィ署長 / ベン・ニームス

日本公開: 1974年
製作国: アメリカ アカデミー・ピクチャーズ作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

ピーター・フォンダが逃げて、逃げて、逃げまくる映画で繋げた。ただし、相手はカルト集団ではなく警察。となれば犯罪アクションである。中々、妙味のある展開を見せる好篇。

アメリカ、カリフォルニアとある家にソマーズ(アダム・ロアーク)が押し入り、母娘を監禁すると、旦那の勤務先に電話をかけさせた。夫が務めているのは、町のスーパーマーケットで、そこの責任者だ。『今から男が行くから、金庫の現金をすべて渡せ』。

当惑していると、ラリー(ピーター・フォンダ)が、揚々とやって来た。仕方なく現金を渡すと、何食わぬ顔で外へでるラリー。しかし、車の中にはたった一晩の火遊び相手だったメリー(スーザン・ジョージ)が乗り込んでいた。

何と、彼を追い駆けて来たのだ。困惑するラリーだが、すぐにでもその場を離れなければならない。彼女を乗せたまま走りだすラリー。途中でソマーズをピックアップし、南を目指して走りだした。ソマーズは突然の侵入者に怒りを露わにするが、二人はどこ吹く風。

当然、事件は警察に通報され、指揮は組織嫌いの変人フランクリン(ヴィック・モロー)が執ることになったが・・・

無鉄砲な若者たちがノー天気な逃避行を繰り広げるカー・アクション作。

ストックカー・レースのドライバーとメカニックのコンビ。お互いに問題を起こし強盗を計画。

メカニックの方は、ある程度、理知的であるが、主人公のドライバーは、自惚れが強く、どこか軽薄さを滲ませ、世間をバカにしている態である。

そんな主人公が犯行前夜、少々、頭の弱い女に手をだしたことから付き纏われ、同行させられる羽目になる。

ところが、この若い尻軽女が、悪知恵だけは働くことから、途中で放りだすことも出来なくなる展開。

更には、追う側の警察も、上司に平気で反抗し、制服も堅苦しいからと着用しないような男が指揮官だ。他にも、カー・レーサー気取りの若手警官や、どうにもやる気のない上、頭も切れないような警官たちばかり。

要は、田舎の中流以下の人間ばかりが登場して来ての進行なのだ。

だからか、どこか牧歌的というか、のどかな印象を与える。

ピーター・フォンダは、本作以前のアメリカン・ニュー・シネマの延長線上のイメージなのだが、かといって自分探しをするでもなく、行き当たり場当たり的な性格設定。

だからアバズレと周囲に呼ばれる女とつるむことが出来るのである。

このアバズレ女を演じるスーザン・ジョージが実にキュートなのだが、彼女の設定もスピルバーグの佳作「続・激突/カージャック」(1974)のゴールディ・ホーンに重なる。

共通するのは、アメリカの田舎に生まれ育ち、恐らくはロクな教育を受けていない人間たちが、これが自分らの限界である思考を張り巡らすものの、結局、思い付きで犯罪に走っていくという社会的病巣をあぶりだそうとしていると感じた。

クールな計画立案者のメカニック以外、思い付きや本能だけで人生を生きている風情の人間ばかりでの、逃げ切れるか捕まえられるかというシーソー・ゲームが繰り広げられる展開。

派手さはないものの、ヘリコプターと車のチェイスなど見どころもあり、唐突なラストまで、一応、あきさせない。

無軌道な若者たちが巻き起こす騒動を付かず離れず描いたカー・アクション映画で、好きな部類に入る作品ではある。

余談雑談 2015年10月31日
来週に迫った「沖縄オジサン三人旅」。ところが、ひとりの御身内に不幸があり、急遽、不参加となった。つまりオジサンの二人旅。 突然の連絡であったが、こればかりは致し方ない。一瞬、別な同じ年恰好の人間を代理として行かせられないかとも頭を過ったが、