余談雑談 2014年5月17日

ビデオのダビングが全部終わった。タイトル数は、単発ドラマや30分の旅番組等、1300を超えた。我ながら、よくぞ録画しておいたと驚いた。

特にラストに来て印象的なことは、夏目雅子という存在。

彼女のデビュー作で、まだ、「小達雅子」の本名で出演した「愛が見えますか」という、昼帯のドラマ。これは始めから夏目雅子主演と分っていたが、驚いたのは、別な連ドラ。

当時、市川森一という脚本家が好きで桃井かおりと川谷拓三という異色コンビで放送された「ダウンタウン物語」。

黒澤明の「天国と地獄」(1963)で、麻薬の巣窟として描かれた横浜黄金町がモデル。貧民窟の中の貧乏教会で必死に活動を行う、どこまでも善良な牧師・川谷とキャバレーの歌い手の桃井の恋物語。教会乗っ取りを狙う悪役は市原悦子。

ファンタジー人情ドラマ的展開なのは、覚えていたが、中盤で数話ゲスト的に夏目雅子が出ていたのは完全に忘れていた。

さらに驚いたのは、ドラマ収録時のテープ残量が30分程度あったので、タモリの「今夜は最高!」が二回分入っていた。

これは完全に忘れていたが、その二本とも凄かった。一本は、ゲストに夏目雅子と中村賀葎雄。再現パロディとして、黒澤の「用心棒」(1961)。中村が三船役、夏目が山田五十鈴の役。歌の場面では、彼女が芸者姿で、芸者唄メドレーを披露する。

あまりの美しさと茶目っ気に驚嘆した。そういえば、当時、藤純子主演の「緋牡丹博徒」シリーズを夏目雅子でリメイクしないかと願っていたことを想起した。

もう一本は、吉永小百合と野坂昭如。トーク場面では、男二人が吉永を間に挟み、いかに自分の方が『サユリスト』かと論破しあうという、泣くほど面白かった。

ビデオ・テープ自体が高額で、無駄がないよう、残り時間で色々と録画していたとも思い出した。それが、今回のダビング用に購入したDVD-Rは、100枚で千数百円。1300タイトル収録しても、五千円もかかってないのだから、時代の流れは恐ろしい。

そして、夏目ではないが、市川森一の自伝的ドラマ「ゴールデン・ボーイズ」も、かなり印象に残ったドラマだった。60年代初頭のテレビ黎明期で、市川のデビュー前後をテレビ界、浅草のお笑い界双方を絡めて描く二時間ドラマ。

これは、録画だけして未見であったのだが、CMを飛ばそうと見ながらダビングしていたら、不覚にも号泣してしまった。

ほぼ全員が実名で登場するのだが、市川役が仲村トオルで、創世記のドタバタ振りと売れない芸人たちが、急にスポットを浴びる悲喜劇を描いていた。

特に白眉だったのは、当時、テレビで何度も見た有名漫才コンビの再現コント。コント55号は、萩本欽一が小堺一機、坂上二郎が片岡鶴太郎。コントラッキーセブンのポール牧役に陣内孝則、相方の関武志にはビートたけし。

彼らが完全にコピーして演じているのは驚いた。しかも、地元では有名な実話である萩本欽一の結婚話がラストに登場してきてそこで、号泣してしまった。あれこそ、浅草芸人の鑑である。

これで、何度でも、それらを簡単に再見できるようになった。

それでも、なんだ、この虚無感は。

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