隊長ブーリバ – TARAS BULBA(1962年)

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スタッフ
監督:J・リー・トンプソン
製作:ハロルド・ヘクト
脚本:ウォルド・ソルト、カール・タンバーグ
撮影:ジョセフ・マクドナルド
音楽:フランツ・ワックスマン

キャスト
ブーリバ / ユル・ブリンナー
アンドレ / トニー・カーティス
ナタリア / クリスティーネ・カウフマン
総督 / ジョージ・マクレディ
フィリペンコ / サム・ワーナメイカー
シーロ / ブラッド・デクスター
グレゴリー王子 / ガイ・ロルフ
オスタップ / ペリー・ロペス
ステファン老 / ウラジミール・ソロコフ

日本公開: 1962年
製作国: アメリカ H・ヘクト・プロ作品
配給: ユナイト


あらすじとコメント

J・リー・トンプソン監督作品で繋げてみた。コサック民とポーランドの間で繰り広げられるスケール感溢れる歴史大作。

ウクライナ 16世紀初頭のこと。オスマン・トルコに攻め込まれたポーランド軍は、地元の民コサックに協力を要請した。

気性が荒く、死をも厭わない、頭目のブーリバ(ユル・ブリンナー)は、仲間たちと猛攻を加え、ポーランド軍に勝利をもたらした。だが、ポーランドのグレゴリー王子(ガイ・ロルフ)は、その直後、コサックを裏切り、ウクライナをポーランド領地とすると宣言。激怒した彼は、王子の右腕を切断し、仲間を引き連れ山へと向かった。そこで長老らと話し合い、時が来るまで潜伏し、いずれはポーランド軍を撃破すると誓うのであった。

数年後、ブーリバは、成長した長男アンドレ(トニー・カーティス)と二男をポーランドの学校に入学させ、敵を知るべしと命じた。

意気盛んに入学した二人を待っていたのは、強烈なる差別といじめ。だが、コサックの血がそれを許さず、反抗にでるが、所詮、多勢に無勢。

それでも、誇り高きコサックとして勉学に勤しんでいると、ポーランド美女ナタリア(クリスティーネ・カウフマン)を認めたアンドレーは・・・

野蛮で豪放でもあるコサック民族の戦いを壮大に描く活劇巨編。

ポーランド人から、下等民族と差別を受けるコサック。確かに遊牧民族であり、学もなく、単純に喜怒哀楽を表現する人間たちは、文明を持つ側から見れば、そう映る。

しかし、彼らはたとえ野蛮人と呼ばれようとも、命を賭して人生を全うしようとする。

時代背景が16世紀初頭であれば、さもありなんとも思える。

だが、脈々とその血は受け継がれ、先立て行われたロシアのソチ・オリンピックでも民間警備隊として、一部で名を馳せたのを記憶している人もいるだろうか。

本作は、どうみても野蛮人でありながら、自分らへの圧力に対しては、徹底抗戦するという内容である。

主人公は、コサックを先導する豪放磊落な男。そんな彼が、敵を知るためにポーランドの学校に送った長男が現地総督の娘に一目惚れしたことから、話はややこしくなる。

馬鹿にされれば、徹底的に反抗するが、恋をしてからは、自分を認めてもらおうと普通の文明人のように感化されていく長男。ところが、そんな彼の価値観の変貌を理解しようにも出来ない父親は、依然のような誇り高き血によって、仲間たちと、ポーランドとの戦いに挑む。

ポーランドにも統制された軍隊があるのだが、騎馬民族であり、死をも厭わないコサックには太刀打ちできない。

しかも、主人公は、和平条約を結んだコサックの長老格をも無碍に扱ったり、文明に感化されたと長男を臆病者呼ばわりした仲間には、互いの命を懸けた『崖越えジャンプ』で対決させる。

見るからに野蛮であり、実際、その通りの男として描かれる主人公。

壮大な草原をバックに、あまり知られていない民族を描くのだが、どうにも説明じみた展開が多く、長いと感じた。

ただ、いよいよ、ポーランド軍が守る砦に総攻撃を加える場面からは、壮大なスペクタクルが繰り広げられ、それまでに刷り込まれた大自然の背景の余韻が生きてくる。

このあたりのトンプソン演出は、手慣れた絶頂期ということもあり、迫力がある。

いつもスキン・ヘッドのユル・ブリナーは、辮髪のカツラをつけての活躍であるが、長男を演じたトニー・カーティスはどうにもコサック人に見えず、そのあたりが、いかにもハリウッド映画っぽい。

しかもロケされたのは、当時、ソ連領であったウクライナではなく、南米アルゼンチン。

コサック民族を知るには手っ取り早いし、クライマックスの戦闘シーンは見応え十分である。

ただし、以後、監督のJ・リー・トンプソンが排出する作品は、格落ちになっていくのも事実で、彼の大作としては、最後の輝きでもある作品。

余談雑談 2014年8月23日
先週、ハリウッドスターの訃報が相次いだ。ロビン・ウィリアムスとローレン・バコールだ。 TV報道では、圧倒的にウィリアムスばかりであったが、病を気にして63歳での自殺と、89歳で天寿を全うしたというイメージでは、どうしても偏るのは仕方ないのだ