戦略大作戦 – KELLY’S HEROES(1970年)

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スタッフ

監督: ブライアン・G・ハットン
製作: ガブリエル・カッカ、シドニー・ベッカーマン
脚本: トロイ・ケネディ・マーティン
撮影: ガブリエル・フィゲロア
音楽: ラロ・シフリン

キャスト

ケリー / クリント・イーストウッド
ビッグ・ジョー軍曹 / テリー・サヴァラス
クラップゲーム / ドン・リックルズ
コルト将軍 / キャロル・オコンナー
オッドボール / ドナルド・サザーランド
モーリアリティ / ギャビン・マクロード
メイトランド大尉 / ハル・バックリー
リトル・ジョー / スチュワート・マーゴリン
ウィラード / ハリー・ディーン・スタントン

日本公開: 1970年
製作国: アメリカ MGM作品
配給: MGM


あらすじとコメント

クリント・イーストウッド主演にして、ブライアン・G・ハットン監督コンビの戦争映画。前回の「荒鷲の要塞」での、お互いの鬱憤を晴らすかのようなスケール感溢れる巨編だが、とんでもないコメディ作品。

フランス。第二次大戦も佳境。アメリカ軍の先鋒部隊の一員であるケリー(クリント・イーストウッド)は、敵陣に潜入し、ドイツ軍情報部の大佐を拉致した。

味方陣地へ連れ帰ると、大佐の鞄から偽装された金塊を発見する。そして相手を酔い潰し、金塊が140トンも30キロ先の銀行に保管してあることを知る。上官であるビッグ・ジョー軍曹(テリー・サヴァラス)ら、部隊の仲間に一緒に強奪に行かないかと持ちかけるケリー。

当初こそ反対する軍曹だが、仲間たちは当然乗り気だ。仕方なく合意すると、補給部隊のクラップゲーム(ドン・リックルス)や、戦車隊のオッドボール(ドナルド・サザーランド)まで、参加すると言いだして・・・

痛快戦争アクション・コメディの佳作。

ノルマンディー上陸以来、ロクな休みもなく常に先陣を切る部隊。兵士たちには厭戦気分が蔓延している。一応、真面目なのはヴェテランの軍曹だけ。将軍の甥である隊長に至っては、戦利品として押収したヨットをアメリカまで爆撃機で輸送できるかと思案し、パリまで将軍からの依頼品を調達に行くので、3日間だけ、その場で全員に休暇だと仰る始末。

そこに眼も眩む儲け話の登場。強欲な人間が次々登場して、いざ、出陣。しかも、大した作戦も立てず、敵陣突破を計る。

コメディ要素満載な設定である。今までの映画では、あまり見かけなかった設定として、主人公は一兵卒であり、それが頼りになる軍曹を従属させていくという逆転の発想。通常は、隊長がアホなら、ヴェテランの軍曹が主人公である。しかし、それよりも情報を仕入れてきた一兵士がすべてを取り仕切る、と更にひねった設定で進行する。それでいてヴェテラン軍曹は最後まで、頼りになる相棒なのである。

更に、妙なサブキャラとして登場する戦車隊長は、とはいっても三台のみだが、製作当時、世界的な拡がりを見せていた反戦運動のヒッピーを連想させる人物。しかも、戦車にはスピーカーを取り付け、都度、状況に応じて様々な音楽をフル・ボリュームで流して進軍する。

コッポラの「地獄の黙示録」(1979)で「ワルキューレ」を流しながら攻撃するヘリコプター部隊の元ネタとも感じる。

また、『行け行けゴーゴー』タイプの将軍に至っては、主人公たちがドイツ軍と交戦している無線を傍受し、「彼らこそ、ワシが望んでいた英雄だ」と葉巻を咥えながら絶叫する始末。この役も、やはり「地獄の黙示録」でのヘリコプター部隊長のロバート・デュヴァルとイメージが重なる。

かなり、強烈なコメディ・リリーフである。しかし、それでいて、戦闘場面は当時としては、かなりリアルに、そして真面目に作ってある。軍装、装備品、軍事車両もかなりこだわっている。しかも、戦闘シーンは金をかけ、かなり迫力があり、それが何度となく描かれる。

その妙なアンバランスさが本作の存在意義と感じた。あり得なさそうで、あり得る設定。しかし、所詮、すべては虚構の世界。

戦争映画なので、かなり死人はでる。しかし、仲間たちは殆んど死なない。そのあたりの描き方の妙なバランス感覚。本当に絵空事なコメディならば、敵は何百人と死んでも、仲間は誰一人死なないという設定にしただろう。何故なら、妙なセンチメンタリズムが発生するから。

そういう、ヘンなコメディ要素とリアリズムという、奇妙なバランスとアンバランスさ加減。そこに持ってきて、ラストではイタリアのマカロニ・ウエスタンをも連動させる。

それらを渾然一体な娯楽大作として描く。「コメディ」、「戦争大作」。どちらとも取れるし、どちらかとして徹底してもいない。その妙な感覚。

答えは、本作製作当時、ヴェトナム戦争真っ只中ということだろうか。

余談雑談 2011年5月21日
何とか300回。<番外編>まで入れると、まあまあの数か。 2005年の7月から発行しているので、もうすぐ丸6年になる計算である。好きだからといえばそれまでだが、元来、飽きっぽい性格なのに、よくぞ、とも思う。 やりたくないことからは、必死で逃