余談雑談 2011年1月22日

「大寒」も過ぎ、少しづつ日も伸びて来た。

年末から雨も降らず、ずっと「乾燥注意報」が出続けている東京。それでも、澄んだ晴天の空が、僅かでも夕映えの時刻を伸ばすのは『春の息吹』だ。

でもって、少し浮かれて、いつもの安酒場に徒歩で向かった。その日の東京の最高気温は、やっとフタ桁台であった。しかし、慣れとは怖いもので、前日まで寒かったからか、妙に暖かいと感じた。

その所為でもなかろうが、いつもより早足だったのか、開店時刻前に到着すると思い、途中で、某有名コーヒーのチェーン店に立ち寄った。

自分の座った近くに、三人組の客が二組。

一組は、全員が30代の男性たち。一番若い男はタイに行き、売春婦を買ったが、ホテルに戻る前、一緒に飲みに行った先で、見てくれが良かったので、途中で女性をキャンセルし、オカマを買い直したと笑った。

そして別な男に、通帳やカードを渡しながら「オークション決済」とか、「保険の引落し」とか言っていた。受け取った男は「細かいことは解らないから、カード等も全部コピーする」とか答えているので、どう考えても『公認会計士』ではなかろう。何とも不思議な一団。

そして、もうひと組は60から70歳代の方々。その中で、最年長と思しき70後半の老人は、「東京の映画人口」とか、「シネコン」「インディーズ」とか仰っている。スーツ姿などいないが、どうやら映画関係者の模様。

プロデューサーと出資者だろうか。その御老体は、更に「儲からない」とか「もう少し頭を使って」とか延々と話し、他の二人は黙って聞いているだけ。

彼ら越しの窓には、一挙に暗くなった下町の夕暮れが拡がっていた。時計を見ると、「安酒場」開店の時間だった。聞き耳を立て続けるのも、何だかなと思い、席を立った。

しかし、何とも奇妙な二組で、一体、あんな店で何をしていたのだろうか。

妙に後ろ髪を引かれながら不思議な気分で安酒場に向かった。

メルマガ詳細